脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

好きなことを仕事にしたい人への絶好の「ガイド本」 『0点主義 新しい知的生産の技術57』読後感

 

 

博覧強記の博物学者にして、出す本出す本すべてが私にとっては実に興味深いものばかりという、私の理想像の一人荒俣宏氏が、自らの知的生産の技術を紹介した一冊。

 

「知的生産の技術」と書いたばかりで恐縮だが、一つ一つのテクニカルなお話については是非とも本文をお読みいただきたい。私は一番最初の「0点主義」という言葉の意味を説明した「はじめに」の部分でコロリと参ってしまった。

 

学びが本業であるはずの学生時代、勉強というのは苦しい、つまらないもので、特に小学校、中学校のお勉強は親から強制されていやいややっているモノだった。これは結局役に立つか立たないかわからないのにテストをパスするために無理やりやらされていたからだ。もっとも、そこで基礎学力をつけておいたことは大学での学びには大いに役立ったし、勉強を一定時間するという「習慣」は、特にサラリーマンになってから、一定時間の間、やりたくもないことをやり続けてもなんとか凌いでいける耐性に繋がってはいったので、今から考えれば無駄な経験ではなかったと判断できる。

 

「勉強」とは自分の知りたいことを知り尽くすという行為で、人間にとっては最も楽しい行いであるはずだ、というのがこの書で荒俣氏が最も強くうったえていること。そしてその学びを稼ぎにつなげることができればこれ以上の幸せはない、とも語っている。さらにいえば、この世にニッチな分野はそれこそ無限にあり、そこを突き詰めていけば、十分に食っていけるだけの収入を得ることは決して難しいことではないという自らの体験に基づいたリアルなお話までも綴っている。

いやあ、その通り。

 

自分の好きなことを突き詰めていくのは、間違いなく楽しいことだし、それが収入にもつながるのならそれに勝る喜びはないだろう。その上、自分の探り当てた「鉱脈」がもしかしたら世の中に大いに受け入れられ、一気に有名人になったり、大金を掴むことだってできるかもしれない。クーっ、そんなことになったら脳みそ沸いちゃうわ!!!

 

壮大かつ幼稚な妄想はさておき、自分の知りたいことをとことん知り尽くすという行為は人生における最上の快楽であることは事実だ。そしてそれをただの自己満足にしてしまわずに世に問うことも「承認欲求」の充足という意味で快楽の一種である。私も齢50を過ぎてからようやく本格的な「勉強」とその表現に向けて本気になったので、具体的行動として、二つのWEBサイトでモノ書きを始めたところだ。まだ、そのサイトで取り上げられるほどの文章は書けていないが、自分の中では明確にスタートを切った。

 

俗に「下手な考え休むに似たり」というが、放っておくとネガティブ自動思考が暴走して「どうせ俺なんか何やったってダメだ。ああもうこんな人生生きてる価値ない。とっとと死んじまって楽になるか…」とまで考えてしまう割に、自死を実行するのも面倒くさくなって、結局その場から動けずに悶々とだけするという行動パターンに陥りがちな私としては、まず第一歩を踏み出したということだけでも大きな変化だ。この本が直接的なきっかけとなったわけではないが、自分のこれからの行動の後押しとなったことは事実だ。

 

追求することが楽しい、面白い、と思えるニッチな分野を探し、まずはその分野の知識を身につけていくことが第一。金にはつながるに越したことはないが、そうならなくても仕方ない。会社の仕事はカネを得るためだけに行うが、そこでもニッチを探す努力だけは行う。こんな姿勢で「仮面サラリーマン」を続け、還暦の声を聞くまでにはなんとか文筆業者として一本立ちしていたい。これが現在の大目標である。