脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

支離鬱々日記95(家買うシリーズ14 地鎮祭)

新居建設計画が走り始めて約半年、そろそろ着工しようかという頃合いになってきた。

 

そんなわけで、着工に先立つ祭事である地鎮祭を、先日の雨天をついて執り行ってきた。

 

当日は三隣亡ではない土曜日だったので、氏神様の神主さんが超多忙だとのことで、当初の開始予定よりも一時間遅れでスタート。なお、建築会社の方が前もってテントを張っておいてくれたので、お供物も我々も濡れ鼠にならずには済んだ。

 

さて、地鎮祭には施主もいろんな準備が必要だ。当家の場合は、設計事務所社長が親戚だったこともあり、随分と色々便宜を図っていただいたようだが、その辺はケースバイケースらしいので、今後、住宅を新築する方は、建設会社、または設計会社に相談いただきたい。なお、ここで買い求めたモノについての費用は、税金の控除の対象となるかもしれないので領収書はなるべく取っておくほうが良いとのことだ。

 

○神事に必要なお供物

神酒、米、塩、鮮魚、野菜など。当家の場合は、神酒と米、塩のみ用意し、鮮魚、野菜などは建築会社の方が手配した。野菜と鮮魚は、もしかしたら建築会社の依頼で、神主さんに持参いただいたかもしれないが、そこは確認し損ねた。お神酒については特に銘柄の指定などはないが、松竹梅など縁起の良い名前のものが選ばれるとのこと。米も塩も特にこだわる必要はなし。場合によっては、米は前もって洗った上で乾かしたものを求められることもあるそうだが、これもまた確認していただきたい。

○神主さんへの謝礼

通常は初穂料という名目で神に捧げるという形を取る。これも建築会社等に要相談だが大体3万円くらいだそうだ。

 

○参加者への弁当手配

元々は祭事の後に酒食でもてなすのが正式な儀礼とされていたのだが、最近はわざわざ宴席を設たりせずに、弁当と飲み物を手配して持ち帰っていただくというのが一般的らしい。当家は、新居近くの親戚が知り合いの仕出し業者に「お友達価格」で手配してくれたが、場合によっては事前に受け取っておくなどの作業も必要になる。

○近所周りの手土産品

当家の場合は地鎮祭の直後に、建築会社の方々と共に、隣接する家々と、工事用の車両が借りる駐車場の大家さんに挨拶回りを済ませた。その際には手ぶらというわけにもいかないので、千円程度のお菓子の詰め合わせを手土産に持っていった。なお、建築会社はタオルと、やはり少額のお菓子の詰め合わせを持参していた。こういうことは面倒くさがらずに、最初にきちんと挨拶しておくことが肝要だ。何しろ、これから短くはない期間顔を突き合わせることになる皆様なのだ。ビジネス書などには「礼儀正しさに勝る攻撃なし」などとも書かれている。印象をよくしておいて損することはない。当日の感じでは、一軒を除いては特に厄介な感じのする方はいなかった。問題ありそうな一軒に関しては、今後慎重に付き合い方を探っていくしかない。

 

多少話は前後してしまったが、地鎮祭本番についての感想を少々。

 

地鎮祭というのは、土地の氏神様に、敷地内に設た神棚に、一時的に降臨いただき、そこで、工事の安全とその土地に住まう人間の家内安全を願う儀式だ。というわけで、一番最初は参加者と供物を祓い清める。神社でよくやる、幣をバサバサするやつだ。頭を軽く下げて祓い清めていただく。

次に神主さんが祭壇に氏神様を降臨させる儀式がある。ひとしきり祝詞をあげた後、「ウゥ〜オゥオォォ〜」ってな感じの唸り声のようなものをあげることで神をお呼びする。この叫び声、どこかで似たようなものを聞いたことがあるぞ…、ええーとどこだっけ?あ、そうだ、甲子園の高校野球の開始時と終了時に鳴るサイレンだ!!なるほど、甲子園の試合には野球の神様を呼び寄せているのか。あと一つ、秋田のなまはげが家々をめぐる際に、家に入る時に挨拶がわりに発する唸り声にも似てる。要するに、神様が降臨されたぞ、ってアナウンスなんだなこれは。

 

などと、ある種文化人類学的なとりとめのない思考の奔流に身を委ねているうちに、「本番」の神事。最初に土地の四方を祓い清める。ここで、用意した米と塩、お神酒を四隅に撒く。次に祭壇に向かって右側に設てあった砂の山を崩す、という工事の開始をシンボライズした儀式がある。設計会社の代表者が、山の上にある草を鎌で刈り、施主である私が鋤で砂山を崩し、最後に建設会社の代表者が、シャベルで、私が崩した土を平にする(とはいっても実際には崩した砂を一すくいするだけ)というのがその内容。いずれも道具は木製で、実際の工事にはとてもじゃないけど使える代物ではない。三者の全てが「エイ、エイ、エイ」という3回の掛け声とともに動作し、3回目の「エイ」で、実際に草を刈る(実際はむしりとる)、山を崩す、崩した砂を平にするなどの動作を行う。

 

その後、神主さんから玉串を受け取って、それを神様に捧げ、その際に工事の安全と、家内安全を祈る。施主の私は一番最初。神様に尻を向けるのは失礼に当たるので避けねばならぬ行為なのだが、ついつい振り返って戻ってしまった。神様大変申し訳ありません。来年は初詣にお邪魔して、いつもより多めにお賽銭献上しますからお許しください。

 

なんてなことを考えているうちに、参加者全てが玉串を奉納し、儀式は終了。色々流儀はあるようだが、今回はここでお神酒のお裾分けをいただき、飲んだふりだけして、先ほど崩した砂山に注いだ。最後に氏神様を天にお見送りし、地鎮祭は終了。いよいよ近日中に工事が開始される。

 

地鎮祭後には前述の通り、ご近所に挨拶回り。そしてその後、建設会社に場所を移して、正式な契約書の締結。久しぶりに、自分の実印を手にして捺印した。今月中に手付金を支払い、いよいよ実際の建設がスタートする。まだまだ現実感はないが、あと半年後には、当日米だの塩だのを撒いた土地には家が建つのだ。ワクワク感はたっぷりあったが、知らない人の家に行くのはなかなかにプレッシャーだったようで、全てが終わってから、実家に戻った際にはかなりの疲れを感じた。おかげで、この機に併せて実施しようと思っていた、実家の電話機のナンバーディスプレイ表示がきちんと実行されたかについての確認をケロッと忘れてしまっていた。現住所に帰ってきたのちに実家に電話したら、きちんと電話の相手先をアナウンスしたとのことで一安心。母の介護についても一歩前進した。