アメリカB級映画界の船越英一郎ことニコラス•ケイジと同じくアメリカ映画界の高島礼子ことニコール・キッドマン(個人の感想です 笑)共演のサスペンス映画。
主人公カイル(ニコラス•ケイジ)は宝石を扱うビジネスマン。プール付きで部屋数も多い、アメリカ映画で描かれるところの、典型的な富裕層の家に妻サラ(ニコール・キッドマン)と一人娘のエイブリーとともに暮らしている。冒険したい年頃のエイブリーは友人とパーティーに出かけたいと母親に申し出たものの、その日は、家族揃ってディナーを摂る日だからと却下される。ところが帰ってきたカイルは妻とも娘ともおざなりなハグを交わしたのみで、片時も携帯電話から耳を離さない、ワーカホリック状態。ディナーも結局商談相手の都合に合わせるためキャンセル。ゴタゴタのどさくさに紛れて、エイブリーはまんまと家を抜け出してパーティーへ…。
なんだよ、またアメリカ映画お得意の家庭崩壊モノなのか?と思ったのも束の間、カイル邸のインターフォンを警備会社の者だと名乗る人物が鳴らしたところから物語は一気にサスペンスな展開へと突っ走る。
ここで一つ根本的なツッコミ。いくら相手が「警備会社の者です」って名乗ったとしても、最低限その会社のIDカードくらい確認しないか?明らかに近所中に「金持ちです!!!」って見せびらかすような家の作りだし、実際に家の中には貴金属やら金をおいておくための生体認証システムまで搭載した金庫まであるんだから、そのくらいはシステム上必要とさせておくという設定もできただろうし、住人もそのくらいの気構えを持っているのが妥当だと思うがね…。
兎にも角にも、ドアを開けてしまった邸内に警備会社の制服を着込んだ強盗たちが乱入。武器を持った強盗たちは、その武器でカイルを脅し、金庫を開けさせようとするが、なぜかカイルは金庫を開けることを拒否する。となれば、暴力的手段に訴えるというのが強盗側の典型的行動だと思うのだが、なぜか強盗たちはいきなり指を一本づつ切り落とすとかいう蛮行には走らない。どうやら強盗団の中にも「派閥」があって、痛みにモノを言わせようとする人物と、なるべく説得によって穏やかに金を出させようとする人物がいるらしい?強盗側も、捕虜がわも、それぞれ不可解な行動を取るが、これは一体なぜなんだ?という疑問への答えはストーリー進行とともに徐々に明かされていくという展開。これはなかなかうまく考えられていたように思う。
一方で娘エイブリーの行動が単純すぎて、やや話の幅が狭まってしまった感がある。パーティーへ出かけたエイブリーはそのパーティーが薬物やアルコールだらけの危ないモノだと知り、すぐさま実家へ引き返すのだが、中の異様さに全く気づくことなく、あっさり邸内に入ってきって、人質第3号としてめでたく囚われてしまうのだ。同じ囚われるにしても、なんらかの伏線を用意しておくとか、異変に気づいて、一騒動起こすかすればもう少し盛り上がったような気もするのだが…。最後の最後に、パーティーへ参加していたことを伏線に勝負にかける場面は出てくるのだが、その前にもう一工夫が欲しかったと、個人的には思う。
ま、半ばネタバレしたようなモノだが。ずばりそのものを紹介しておくよりは幾分かマシだろうと考えて、ストーリー紹介はここまで。残りは本編をご覧ください。
ニコラス•ケイジが変な特殊能力も持たず、ほぼほぼ戦闘能力もない「普通のビジネスマン」を演じていたのを観たのは個人的には初めて。ある状況証拠に基づき、妻サラを疑いながらも、自己を犠牲にしてでも妻と娘を助けたいという執念は伝わってきた。
妻サラを演じたニコール・キッドマンも編集の切り取り方で、様々な見方のできるシーンを不自然さなくこなしていたところはさすが。彼女も様々な条件下で、夫と娘をなんとか助けようという執念を見せる。
最後の最後、皆がニコニコしながら後日談的なシーンで締める、というようなハッピーエンドにはなっていないところも好感が持てた。この事件を終えたのちの家族は一体どうなるのか、という引っかかりに対しての答は示されていない。