脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

重要なのは「今」が安全な状態だと自覚すること 『今すぐ使える 誰でもつかえる フラッシュバック対処と予防: アメリカ発 トラウマのプロが教えるフラッシュバックのすべて』読後感

 

私の日常において一番悩まされているのが「過去の出来事に引きずられて、精神的なエネルギーを浪費してしまう」という悪癖だ。今に至るうつ病の根本原因となった左遷人事のショックを始め、私にとって理不尽と感じられた上司の言動・行動、先輩からの意味のないイビリ、満員電車の中での諍い、といった比較的近年のものから、高圧的な母に屈してしまった記憶やら、小学校時代に受けたいじめやらの遠い過去の記憶まで。普段は記憶の奥底に眠っているものが、ふとしたきっかけで蘇ってくると、ついついそのことについて考え始めてしまい、その時の悔しさ、怒り、悲しみなどが襲ってきて、その感情に囚われて、何もできない。ようやく考えを断ち切ってもすでにココロのエネルギーが枯渇してしまった状態で、ある程度時間を置かないとそのエネルギーが復活しない。休職期間でもあり、精神的には弱っている状態なので、余計に回復に時間がかかる。そしてそんな状態の自分を責めてしまい、ますます精神状態が悪化するという悪循環にも陥ってしまう。

 

フラッシュバックも深刻なものになると、ショックを受けたその時の記憶がリアルに甦り、それこそ身動きひとつ叶わぬほどのダメージを受けてしまうそうだが、私の場合、そこまでの重症ではない。しかしながら、1匹の毒蛇よりも、無数の蚊の方が鬱陶しいのと同様、細かい精神的な傷に常時苛まれるというのもそれはそれでシンドいものだ。

 

そんなわけで、とにかく細かな精神的負傷の追体験からなんとか逃れたいという意図のもとでKindle Unlimitedから引っ張り出したのが標題の書。長い題名だな、しかし。

 

まず、内容を超粗々にざっくりと要約してしまうことにする。フラッシュバックは、脳が、過去の重大なダメージを受けた時点と「今」が同じ状態にあると錯覚してしまうことで起こるらしい。したがって、「今」は全く別の時間、環境であることを認識し、重大な危機からはすでに逃れているのだと「安心」できればフラッシュバックから逃れられるのだそうだ。そうそう、私は今会社のやりがいのない仕事からは逃れて、最も快適な環境である自宅の書斎で、趣味の一つであるブログ書きを楽しんでいるのだ。そう、脳に教え込んでしまうことが肝要なのだという。

 

では、どうしたら「今」が安全安心な環境下にあるのかを脳に教えるのか?その具体的な方法に関しては是非とも本文にあたっていただきたい。パニックの緊急回避方法から、フラッシュバックが起こりそうな状況を見抜いて、そうした状況になるべく陥らないよう回避する方法まで、即実行に移せる具体的な方策の数々が紹介されている。そして自分に合った方法を見つけたら、その方法を繰り返し繰り返し実行することも推奨されている。1回や2回その方法を実施したところでフラッシュバックはぴたりと止まるような生やさしい傷ではないので、まずは少しマシという状態を目指し、そのちょっとマシを積み重ねていくことで「かなりマシ」な状態に持っていこうという著者の主張には素直に賛同できた。