脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

人間が抱えるどんな悩み、苦しみも、きっと解決できる。必要なのはその「方法」である。『反応しない練習』読後感

 

 

人間は悩み、苦しむ生き物だ。生まれた時は、この世の中に出て来たことに悩み、長じては親との関係、共同体の中での人間関係、学業成績や学歴、恋愛感情、仕事、自分の子供との関係、健康問題…。あの悩みが終わればこの悩みが、この悩みが終わらないうちに、今度はその悩みが浮かんでくる。自分自身の身の回りのことだけで悩みだらけなのに、ここ数ヶ月はコロナ禍なんてものが降って湧いて出て来て、今までの悩みの上にさらなる悩みを上乗せしてくる。いやはや。

 

標題の書は、その悩みに対処するシンプルな心がけを紹介し、その心がけを保つための具体的な方法を解説してくれている一冊。

 

つい最近も私は職場のマッスルバカに散々怒りを喚起させられ、悩みもしたし、非常に疲れもしたのだが、いい機会だとも思ったので、この本に書かれていた基本的な方法を試してみた。今までに得ていたアンガーマネジメント等の方法も加え、自分なりにアレンジしたので、この本の方法に全く忠実というわけではない。

 

1.まず燃え盛っている怒りの炎を鎮静化するため、深呼吸を繰り返しながらゆっくり数字を1から6まで数える。以前読んだ本の受け売りだが、6秒というのは瞬間的な怒りを忘れてしまうのに必要な時間だそうだ。

 

2.自分が一体何に対して怒っているのかを、事実として明らかにする。私の場合は怒りの要素をなるべく具体的にそこら辺の紙に書き出した。頭の中でだけ考えていると、頭は勝手に刺激の強いフレーズを生み出し、怒りを増幅させてしまう恐れがあるからだ。紙に書き出すことで、怒りの対象が具体的になるし、頭の中の整理もつく。こういう時に頭が勝手に絞り出すフレーズは結構使えることもあるので、余裕があればそっちも書き留めておいたりもする。余裕のないことの方が多いが(笑)

3.改めて書き出したことを眺めてみる。そこで笑えてしまえばその怒りはもうおしまい。悩みをリリースできたことになる。まだ怒りが治らないようなら、もう一度怒りの原因を書き出してみる。深呼吸も併用する。

4.最後は書いた紙をビリビリに破ってゴミ箱に捨てて終わり。ケチ臭い私は、あとで文章のネタにできないかと思って捨てずにとっておいたりすることもあるが、その際は必ず、「ぺこぱ」のノリツッコまないフレーズを最後に書き添えて毒消しをしておく。

例えば以前、月曜の朝に前日のラグビーで痛めた足を引きずっていたら、時の上司に「どうしたんだ?」と尋ねられたので「いやあ、昨日ちょっとラグビーやったら怪我しちゃいまして…」と苦笑まじりで答えたら「仕事に支障が出るようなラグビーだったらやめちまえ!!」と言われたことがあった。高々、巡り合わせで会社の上司になったくらいで、人の私生活にまで踏み込んでくるんじゃねーよ、ってのがその時の怒り。でも、この人は俺の体のことを心配してくれてるんだ、というのが毒消しのための「ぺこぱ式ノリツッコまない」フレーズだ。この例に倣って、一つ前の部署の上司の言動を毒消ししようとしたら毒消しし切らないほどいろんな怒りが出て来てしまった(笑)。

 

私の自己流の悩みリリース方法よりも、もっと参考になる具体策が紹介されているので、是非ともご一読の上、自分なりのメソッドを作りあげる参考にして頂きたい。心のうちに湧き上がるネガティブな感情というのは、全て、目の前の現実に対して自分の心が「反応」した結果であり、現実と心の動きをリンクさせることなく、冷静な客観的視点で現実を眺め、その問題点に対処していこう、というのがこの本の根本原理であり、著者のいうところの仏の教えである。全ての問題に対して冷静で客観的でいようとするのは至難の技ではあるが、それこそが修行である、という説明は実に明快だ。私には宗教心はないが、この修行だけは続けていきたいと思う。