期せずして二作連続ジェイソン・ステイサム主演作を観てしまった。標題の作の主演はシルベスター・スタローンじゃねーの?ってツッコミもあろうかと思うが、実質的に一番画面に映ってたのはステイサムだったんで、少なくともこの作品の主演はステイサムでいいと思う。
良くも悪くも、アクションスターたちを大挙して出演させて、各々にそれなりの見せ場を作るのがこのシリーズの特色。今作はシュワちゃんこそ出てないが、ドルフ・ラングレンやらランディー・クートゥアなんてな面々が出てきてそれなりの戦闘シーンを見せる。中でも敵の首領ラフマト役だったイコ・ウワイスと、タイで隠遁生活を送っていたという設定のバーニー(スタローン)の旧友デーシャ役のトニー・ジャーのアクションはなかなかの見ものだ。
さて、ストーリーはラフマト率いるテロ集団がリビアの兵器工場から核爆弾の起爆装置を奪おうと画策していることを嗅ぎつけたCIAがバーニー率いる傭兵部隊、エクスペンダブルズにその阻止を依頼することから始まる。ラフマトの後ろには、今までの戦闘で数々のバーニーの仲間を失わせてきた大物「オセロット」の存在があり、バーニーは当面の核爆弾盗難を防ぐとともに密かにオセロットの正体を暴くこともミッションとしていた。
しかし、バーニーたちの部隊が向かうという情報は漏洩しており、バーニーたちの乗った飛行機は地上からの攻撃を受け爆発。そのどさくさでラフ的には逃げられてしまい。飛行機の残骸からはバーニーの焼死体が発見される。おいおい、いきなり主役級が一人画面から消えちまったよ、という驚きはそれなりにデカかった。そろそろ観衆には飽きられてきているとはいえ、この「エクスペンダブルズ」っていう物語の枠組みは、もう2、3作引っ張るくらいの価値はあると思われ、そうした含みまで全て消してしまう展開だったからだ。
そんなストーリー外の思いを打ち消すようにストーリーは進行。バーニーの仇討ちに燃えるクリスマス(ステイサム)はエクスペンダブルズを率いてラフマトを追おうとするのだが、彼はCIAの作戦指揮官マーシュ(アンディ・ガルシア)によって討伐隊から外されてしまう。マーシュはクリスマスの元恋人ジーナを指揮官に指名した上、自分自身も現場に乗り込むと宣言。ん?このマーシュってキャラ、いかにも背広組の管理職然とした人物で、戦闘経験なんぞありそうもないんだが…って疑問は後々の重大な伏線となるので、是非とも引っかかりを感じたまま鑑賞いただきたい。
一方のクリスマスは、独自のルートでラフマトの居場所を突き止め、バーニーの旧友デーシャの手助けを受けて、テロ一派が陣取るタンカーに乗り込む。エクスペンダブルズ隊は、再度の情報漏洩のおかげで囚われの身となっているという設定。で、まずエクスペンダブルズ隊を救出して、あとはチャンチャンバラバラがしばらく続く。いずれ腕に覚えのあるアクション俳優たちだけあって、流石にアクションシーンは堂に入っている。
で色々あって、一つどんでん返しがあり、さらに最後の最後にはクリスマスは絶体絶命の危機に陥る。このまま終わってしまっては、先のバーニー退場と同じく、今後のシリーズ継続の含みまで消えちゃうじゃん、と思っていると、そこに救世主が現れるというのが身も蓋もない、この作品のオチ。ご都合主義ここに極まれりって結末で、一気に興醒め。
まあ、ストーリーもへったくれもなく、アクションシーンを楽しむ作品だと割り切って観ればそれなりに仕上がっているとは思う。根強い勧善懲悪、ハッピーエンド信仰が残る日本での受けは良かったんじゃないのかな?