USB-HDD録り溜め腐りかけ映画鑑賞シリーズ。今回はトム・クルーズが悪役を演じたことで話題となった標題の作を鑑賞してみた。
ストーリーはヴィンセント(トム・クルーズ)がロスアンジェルスの空港の雑踏を歩く場面から始まる。ヴィンセントはとある男とぶつかってしまい、お互いに持っていた鞄を落としてしまう。この男はジェイソン・ステイサムで、トムとジェイソンが軸になって物語が進むのかと思いきや、ジェイソンはこの場面のみのカメオ出演扱いで、エンドロールに名前すらクレジットされていなかった。
さて、この場面でお互いにとり落とした鞄を取り替えるという、スパイものではよくありがちな「情報交換」が行われる。ヴィンセントは殺し屋で、鞄の中には殺しのターゲットである人物5人とその情報が入っていた。
ヴィンセントはタクシーを拾う。その運転手がこの映画のもう一人の主人公、マックス(ジェイミー・フォックス)。ヴィンセントはマックスに、5つの「仕事」が終わるまで付き合ってくれれば600ドルという破格のギャラを払うという条件を提示し、本来貸切には応じないと渋るマックスを強引に従わせる。で、そこからマックスはヴィンセントの殺しに付き合わされることとなるというのが粗々のあらすじ紹介。
日常のほんのちょっとした選択で、大きな禍に巻き込まれ、しかもどんどんどんどん状況が悪い方向に向かっていく、という筋立てはサスペンスものの大きな枠組みの一つだ。マックスも単なる運転手という立場を超え、ヴィンセントの助手として殺人の片棒を担ぐような真似をさせられ、警察からも追われる身となってしまう。なんとか逃げようにも、病院に入院している母親の所在を知られ、「逃げれば母を殺す」と脅されて逃げるわけにもいかない。ヴィンセントが狙っている人物たちは、麻薬組織に関わっており、警察ばかりか、そのヤバい奴らからも狙われてしまう。おいおいどんだけマックス追いこみゃ気が済むんだい?と思ったところで、マックスは思わぬ反撃に出るが、それもまた悪い方に向かってしまう。マックスがどのように追い込まれ、打つ手打つ手がどんどん悪い効果を生むというストーリーがこの作品の最大の味わいどころなので詳細は省きます(笑)。
で、エンディングは題名にした感想が残る。これも詳細を書いてしまっては作品の味わいを削ぐことになるので詳らかにはしない。是非とも作品をご観覧いただきたい。
メインストーリーとは別に、ヴィンセントがマックスに対し、夢だけ語って、その夢を実現するための行動を何一つ起こしていないことをなじるシーンが印象に残った。今のままでは夢を達成できないとわかっているのに、夢を達成する努力をしていないことに対し、あれやこれやと言い訳を並べる姿、俺の姿そのものじゃねーかよ、と思わされてしまったのだ。このシーンで同じ思いを抱く方は少なからずいらっしゃるのではないかと推測する。
ちょっと調べてみたら、この作品、評論家たちからの評価はそれなりに高かったようだ。先述のちょっとした人生哲学的な部分も含め、ストーリー展開は悪くなかっただけに、エンディングの残念さが際立ってしまった一作だった。