脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

一つの非常に幸せなケース。自分に取り入れられることは貪欲に取り入れよう 『うつ病は人生の転機だった』読後感

 

 

Kindle Unlimitedの対象でなければ読まなかったであろう本の読後感シリーズその3。別にこの本の内容がくだらないとか金を出す価値がないというわけではなく、このテの本はすでに何冊も読んでいるし、また未読の本も多いから、新たにライブラリーに追加するにはちょいと躊躇してしまうというのが上記のカテゴライズの理由。

 

著者うつリタゆう氏は一度罹患し、寛解したうつ病が、適合できない職場での業務で再発したのを機に離職し、現在はうつ病にかかった人の支援団体で活動する一方で、それまでの業務経験で培った知識をもとにファイナンシャルプランナーとしても活躍されている方。現在うつ病寛解し、充実した人生を送られているようだ。

 

この方の病状は、文面から察するに、いわゆる従来型のうつ病のようだ。それこそ指一本動かすのも苦痛で、ただただ寝床で過ごすしかないという日常を送った時期があったことが綴られている。私が罹患したのは、いわゆる新型うつとか軽症うつとか呼ばれるもので、嫌なこと(もちろん会社の仕事!! 笑)をすると途端に気分が落ち込んでしまうが、自分の好きなことならできる、という誠に都合の良い病気だ。何度か書いた通り、都合半年ほど会社は休職したが、その間も、トレーニングや読書など自分の好きなことはできていた。ただし、会社の仕事への嫌悪感や会社の私の希望職務を全く無視した配属への絶望感や怒りで、それこそ死にたいと思うほどのストレスが押し寄せてきて、著しく体調を損ねた時期があったのも事実だ。著者氏ほどではないが、寝込んだこともあったし、今でも月に一度か二度は食事や入浴といった必要最低限のことすらできなくなるような倦怠感に見舞われることはある。

 

それでも会社を辞めることができないのは、ひとえに、やめたら食っていけないという制約のため。貰える金が少なかろうとなんだろうと必要最低限の収入が得られさえすればいいんだからとっとと飛び出しちゃえ、という意見もあるだろうが、養わなければいけない人間が一人いるし、今の、常に不快感はあるものの、それなりに快適な生活を捨てきれないという気持ちもある。著者氏のようなレベルにまで症状が重篤化しなかったことの「後遺症」なのかもしれない。

 

さて、著者氏はどん底の状態から、なんとか脱して、最終的には転職して、今の幸せな状態を手にすることができた。要因はいくつかあるし、個人差もあることだろうが、いくつか、誰にでも当てはまる解消法があることにも気づいたので、それを記しておこうと思う。

まずは十分な休養を取ること。ストレスの元になっている事態や状況から一旦自分を切り離して、何かをやろうという気になるまで目一杯休む。好きなことしかやらないというのも手だし、ひたすら眠るというのも手だろう。まずは大きく傷ついて、血がどくどく流れ出している状態の心の血止めをすることだ。血が止まらなければ次の一歩を踏み出すもへったくれもないのだから、時間をいくらかけてもいい。

 

次は、具体的に生きていく術を見つけ、必要であればその術を身につけるためにアクションを起こすこと。休職中はどうせやることなどないのだから、転職サイトでも専門誌でもなんでもいいからとにかく情報を集める。そしてその職種に必要な資格があるのなら取得すれば良いし、体験できるなら、新しい職場を体験しても良い。休職中にそんなことをしたらヤバい、と思われる向きもあるかもしれないが、そこでとやかく言ってくる職場なら、さっさとおさらばすれば良い。それくらい踏ん切らないと、いつまでも泥沼にはまり込んでいるばかりだ。著者氏の場合もファイナンシャルプランナーの資格を持ち、その知識を活かすことで、経済的にも心理的にもしっかりとした軸を持つことができ、そのことが寛解に繋がって行ったのだ。

 

もちろん、元の職場に戻ることを否定しているわけではない。ただし、元の職場に戻るのであれば、うつにまで追い詰められた原因はなんなのかをしっかりと分析し、対策を講じておくことは必要だ。戻ったはいいが、また以前と変わらぬ状況であるなら再発する可能性が高い。私の二度目の休職は職場の上司から部署の不振の原因を全て押し付けられるような言動を取られたことが原因だが、復帰後、同じ上司と、先輩から「休んでたんだからその分ちゃんと働け」という態度で接され、休職前にも増して多く業務を割り振られたことが原因で三度目の休職に追い込まれた。そして三度目の休職が一番長い期間を要した。三度目の休職から復帰後にすぐに転勤を願い出て、それが叶えられて今の職場に配属されて以来、少なくとも休職に至るまでのストレスを感じることは無くなった。まあ、会社の規模とか社風とかいうものがあって、転勤願いがすんなり通ることはなかなか難しいかもしれないが、少なくとも、人間関係を含め職場環境に問題がある、あるいは適合できない、という事態になんらかの刺激を与えるための行動は必要となるだろう。

 

著者氏の場合は、資格という武器を手にしていたことで、余計な心配をすることなく新たな世界に飛び込んでいけたというのは事実だ。こうした著者氏の姿勢は学ぶ必要があるだろうし、武器があるという安心感は意外に大きいものだとも思う。そんなわけで、私は現在公認TOEIC講師の資格取得を取ろうと考えている。