脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

支離鬱々日記Vol.184(休職日記21 休養のための「好きなこと100選」抽出その10完結編)

お題「好きなものを100個、ひたすら書き出してみる」

 

このお題を作成した人の意図は、一編の記事で全てを上げてもらうことによるカオス的な状況及び、そこから浮かび上がってくる筆者の人物像を楽しむってところにあったのだろうと勝手に推測する。断片的かつ、具体的な事象の例示によるある種のリズム感と「その場」の具体像の浮かび揚げは、島田雅彦氏が初期の頃の作品でよく使っていた手で、いつか私も使ってみたいと思っていたのだが、なんのことはない、魅力的なテストケースを自ら放棄して、10回の細切れにして一つ一つに解説を加えてしまった。

 

まあ、題名にも書いた通り、これは私の精神的な休養の一環であると言うこともある。好きなものだけを考えて、嫌いなものを徹底的に遠ざけて、まずは精神の傷というか疲れというか、そういうものを取り去りたいが故だ。

 

ちなみに本日は、定期的な通院の日であった。一向に上向かない精神状態に、流石の私も少々不安を感じたので「薬を増やすべきか?あるいは何か社会復帰に向けてやっていくべきことはあるか?」と質問してみた。医師からの回答は「会社の仕事はサブで、文筆活動をメインと考えて、まずは文筆活動に打ち込みましょう。その上で「仕事」というものに少しづつ耐性をつけていくのが、良いと思います」との返事。ずっとそうし続けていて、状況が改善しないが故の質問ではあったんだが…。まあ、方向は間違っていないのだから、この方向を強化するエクササイズを積んでくしかないんだろう。

 

というわけで、一応の完結編である第10回目に取り掛かるとしよう。

 

91.一人カラオケ

 池袋や新宿にはその名も「ヒトカラ」という一人カラオケの専門店があって、かなりの頻度で利用した。マスターしたい曲を何度も練習したり、昔は原キーで歌えた曲を、どの程度音階を下げれば歌えるかの実験には最適な施設。自分で音源を持ち込んだり、録音したりもできるようだが、流石に私はそこまでは使いこなせていない。ただこの施設にあまり頻繁に通うと、知らず知らずのうちに喉に負担がかかり、声帯に結節ができてしまうという弊害がある。話す声もよく出なくなってしまったことが数度あって耳鼻咽喉科に通院もした。何度利用しようが喉に負担がかからない歌い方をマスターすることがまず必要だ。

 

92.自転車

 私の運動能力の根源は脚力の強さにあり、その脚力は中学で往復10km、高校で往復20kmの自転車通学を続けたことで培われた。ということで、郷里に帰ることが決まってすぐに自転車を買い求めた。完全なスポーツタイプではないが、さりとてママチャリほどの低スペックでもない。当然電動アシストなどは付いていない。高校時代は自転車でどこにでも出向いた(例えば山の上とか)ことを思い出し、ジム通いや近所の散策などに用いてはいるのだが、高校時代よりも増えた体重は尻とか股間に思わぬ負担を与えている。ちょっと漕ぐとすぐに尻とか袋とかが痛くなってしまうのだ。快適なチャリライフを楽しむためにもまずは減量。

 

93.哭きの竜

 1980年代後半に一大ブームを巻き起こした麻雀劇画。能條純一氏の独特な画風で描かれた「竜」という雀ゴロと、彼を取り巻くヤクザたちの構想を描いた作品だ。御多分に漏れず、私も大学時代はよく麻雀を打った。点3かせいぜい点5くらいのレートだったが、仲間がヘボだったため勝率はそこそこ良かった。で、私の「雀風」は節操なく鳴きまくって強引に安い手で上がるというものだった。基本的に麻雀は手の内を晒さずじっくりと手を作ったほうが上がりやすいし点数も高くなるのだが、竜の場合は鳴けば鳴くほど点数は高くなるし、対戦相手を惑わす待ちになるのだ。麻雀劇画的にはこの斬新さが受けた。それともう一つは竜のわけがわかったようなわからないようなキメセリフ。中でも「あンた……、背中が煤けてるぜ」というキメセリフはこの作品随一の衝撃的なセリフだった。

 

94.お香

 一番直近のお気に入り事項。元々は拙宅に「引越し」て来た仏壇に毎日線香をあげるうち、気に入った香りのものがあると気づいたこと。ちなみにその香りはラベンダーだった。で、書斎でもぜひいろんなお香の香りを嗅ぎたいと思い、即座に香炉と何種類かのお香を買い求めて、日々楽しむようになった。今の所のお気に入りはレモングラス。最高権力者様には、「一階と二階で違うお香が焚かれて家中複雑な匂いが漂っている」として不評だ。

 

95.よしもと新喜劇

 最近TVerで毎回観ている。ちょうど川畑泰史師匠が座長を勇退し、吉田裕氏とアキ氏が新座長になったこともあって、ちょっと新鮮味が増した。川畑座長の安定したおちょくられぶりは吉田氏に見事に引き継がれているし、座長という役割ではなく脇に回った川畑氏がギターや歌を披露するなどのびのびしているところがいい。アキ氏に関してはヤクザの下っ端という役回りが主で「いいよぉ〜」くらいしかギャグは知らなかったが、新喜劇の一つの特色である予定調和を一気に不条理に変えてしまう「変態性」を初めて知った。ムーンウォークをはじめとするダンスのテクニックも多々お持ちのようだ。

 

96.庭いじり

 庭いじりといっても、本悪的にガーデニングを楽しんでいるとか、自分で木を植えるとかいうレベルのお話ではない。造園業者に作ってもらった花壇と芝生に毎朝水をやり、プランターに植えたハーブや草花の類をちょちょい手入れしてるくらいだ。それでも、ハーブがぐんぐん育ったり、タピアンが一気に繁茂したり、日々草が可憐な花を咲かしたりするのを見るのは楽しい。

 

97.メガネ

 予備校時代に視力の低下に気づいてかけ始めてからはや40年弱。大学時代にかけたウェリントンタイプのやつが気に入っていたのだが、つるが完全に欠けてしまい使えなくなってしまった。現時点でそのタイプに勝るお気に入りは登場していない。ここ5年くらいで、気分によっていろんなタイプのメガネをかける楽しさを覚え、今の手持ちはラグビー用のゴーグルや度付きサングラスも含めちょうど10本。一応、自分の中では小説を書くときにかけると決めているメガネがあるのだが、残念ながらそのメガネはまだそんなに長い時間かけていた事はない。

 

98.高橋克彦

 浮世絵の研究家として名高く、浮世絵師をモチーフにしたミステリーで世に出た作家。ただし、私がこの方の作品に触れたのは「奇妙な味の小説」。阿刀田高氏の作品に似た、人間の狂気と正気の狭間を描いた作品が最初だった。出生地である東北を舞台とし、宇宙全体にお話が広がっていくような壮大な作品もあるし、アテルイ九戸政実など、「地元の英雄」に光をあて、再評価させるような歴史物など多彩な作品を世に問うている作家だ。私は一度『アテルイ』を上映している劇場でご本人にお会いし、サインをもらった。

 

99.松輪の鯖

 以前タモリ氏が、人生最後の食事を一品選ぶとしたら?という問いに対し「サバ塩」と答えていたが、私も同感だ。で、その際に焼いて欲しいのが松輪の鯖だ。三崎港近くの松輪という漁港で水揚げされる鯖は大ぶりの極上品で、生でもごく淡い酢で締めるだけで食べられる。焼いても、脂から嫌な匂いがせず、純粋に鯖の身の旨みと脂の旨みを味わうことができる。何度か漁協の食堂にお邪魔して食ったが、人生最後の食事にするに足る鯖だと思う。

 

100.温泉

 基本的に、温泉はどこでも好きだ。何がしかの薬効は必ずあるんだし。でもどうしても一つに絞れというなら、草津温泉を選ぶことになる。湯に含まれる成分も豊富だし、湧出量も日本有数。古くから東日本の温泉の「横綱」と称されているが、その名に恥じない充実ぶりである。

 

というわけで100個完結。ただし、落としたものも少なからずあるように思うので、思いついたら、番外編として書くことがあるかもしれない。