脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

あれから早二十年以上も経っちゃったんだ… 『千年世紀末の大予言』読後感

 

 

欧州の歴史を描くことをメインテーマにしている桐生操氏が、ノストラダムスをはじめとする、予言者たちの言動を集めた一冊。桐生氏の著作は、いわゆる「下ネタ」エピソードを集めたものが数多くあるため、一時結構集中して読んでいた(笑)。

 

表題の書もその一環として買い求め、おそらくは買った直後に一度読んでいる。奥付けを確認してみると、この本の初版は1997年。例の「ノストラダムスの大予言」で「恐怖の大魔王が空から降ってくる」とされていた1999年の2年前で、当然のことながらこの予言への興味も高まっており、桐生氏がノストラダムスの予言をどう捉えているかにも大いに関心を掻き立てられた上での購読だった。

 

ノストラダムスに限らず、1900年代の末には何か大きな変化が起こるという予言をした方は多々いたそうだ。最も「権威」のあるところでは旧約聖書の中に「ダニエル書」なる予言書があり、この書によれば、中東の辺りから、1900年代末に神の「フリ」をした人物が現れ、その人物が人々に大きな影響を及ぼし、人類を破滅に導くムーブメントを起こすと予言されているそうだ。

 

で、世界三大予言者とされている、ノストラダムスエドガー・ケイシージーン・ディクソンは3名が3名とも同じように、中東の辺りからの「反キリスト」的人物の出現と、その人物による、世界宗教統一、世界政府の樹立を予言し、しかもその動きこそが人類を破滅に導くとしているそうだ。

まあ、1999年に世界が破滅すると語ったノストラダムスの予言は今の所見事に外れているし、他のお二方の「世界の破滅」に関しての予言はキリスト教が信仰の根本にある国々の住人であれば、幼少時からの「刷り込み」が元になっているとも考えられる。お三方ともに、相対的に細々としたさまざまな事柄に関しての予言が当たったという事実があるが故に「予言者」として認められたというのは理解できるのだが、今の所、幸にして皆様の予言は外れて、その後二十年以上も過ぎてしまっている。外れてしまった予言ほど間抜けなものはない。

彼らを信奉している方々からすれば、昨今のコロナ禍こそが人類破滅への具体的なムーブメントだと言われるかも知れないし、アルカイーダだのイスラミックステートだのの指導者は、まさに宗教的統一と、世界政府の樹立を目指す「反キリスト的存在」なのかも知れない。中東に限らず、アメリカには一時期とんでもない最高権力者がいたし、ロシアには独裁体制を盤石なものにしつつある権力者がいる。

 

もう一つ、高明な予言者たちの言動に共通していたのは「中国の台頭」である。次の超大国の座を虎視眈々と狙い、経済的成長を遂げている中国の姿を鑑みると、予言者たちもまんざら出鱈目ばかりを言ってるわけじゃねーんだな、という気がしないでもないが、人口やら、広大な国土とそこに伴う資源の豊富さを考えれば、時期的な問題はともかく、いずれ世界の覇権を争う存在になるであろうことは「予想」できたはずで、途轍もない天変地異をズバリと言い当てる「予言」という言葉のイメージとはちょっと違うオハナシであるような気がする。

 

いずれにせよ、人類が壊滅的な打撃を受けるような事態の際は、私はとっとと真っ先に死んで無駄に苦しまないつもりでいる。こういう時に子供がいない身分は気楽でいい(笑)。そんなことを心配しないでも、おそらく私の寿命が尽きるまでに人類に壊滅的な打撃を与えるような事態なんぞ起こりはしないだろうと高を括ってもいる。