脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

歴史

恐れず読んでみたらきっと面白いはずの名著たちがずらり 『身もフタもない日本文学史』読後感

身もフタもない日本文学史 (PHP新書) 作者:清水 義範 PHP研究所 Amazon 清水義範氏の教養シリーズ。 清水氏の「得意技」の一つはパロディー。何か元となる作品があって、それを踏まえて面白さを引き出す手法だ。ということは当然その「元となる作品」につい…

事前予想は見事に外れたものの…、読み応え十分な時代小説 『室町無頼』読後感

室町無頼(上下)合本版(新潮文庫) 作者:垣根涼介 新潮社 Amazon 書店の店頭で、「著者サイン本」とあったのを衝動買いした一冊。 題名からして、織田信長あたりを主人公にした小説ではないかと、勝手に想像して読み始めたらさにあらず。 主人公は才蔵とい…

武田家滅亡までの歩みを周辺部から描いた力作 『戦国鬼譚 惨』読後感

戦国鬼譚 惨<文庫版> (コルク) 作者:伊東潤 コルク Amazon 人呼んで剛腕歴史小説家の伊東潤氏が、武田家滅亡までの日々を描いた連作小説集。 「始祖」武田信玄の死後を襲った武田家盟主の四郎勝頼は、最後は親族にまで裏切られて、取り巻き数十人という惨…

実際にその土地に行って自分の身体を使わないと感じられないことは確かにある 『戦国の古戦場を歩く』読後感

戦国の古戦場を歩く(祥伝社新書232) 祥伝社 Amazon 井沢元彦氏監修による、戦国時代の有名合戦地のガイド本。 織田信長が今川義元を討ち取ったことで一気に戦国の雄にのし上がった「桶狭間の戦い」、武田家が織田軍の最新戦法、鉄砲の三段打ちで壊滅状態に…

「疫病史観」という視点もありかも 『疫病の日本史』読後感

疫病の日本史 (宝島社新書) 作者:本郷 和人,井沢 元彦 宝島社 Amazon コロナ禍も3年目。もはや「コロナ対策を講じた上での生活」が日常に「定着」し、「コロナ前」の日常がどんなものであったのかが朧げになってしまった感がある。 それでも我が日本は世界各…

剛腕歴史小説家が描く戦国末期の「脇役」たちの物語 『家康謀殺』読後感

家康謀殺 (角川文庫) 作者:伊東 潤 KADOKAWA Amazon いわゆる戦国大名たちの争いを生々しい筆致で描くことの多い伊東潤氏による、織田信長の台頭から豊臣家が滅びた大坂冬の陣までの期間の、さまざまな立場の人物の姿を描いた短編集。いずれの物語の主人公も…

考えれば考えるほどわからなくなるけど、一つだけヒントをもらえた一冊 『天皇とは何か』読後感

天皇とは何か (宝島社新書) 作者:井沢 元彦,島田 裕巳 宝島社 Amazon 独特の「井沢史観」で知られる小説家、井沢元彦氏と伝統的な宗教から新興宗教まで幅広く研究し、さまざまな形で言及している宗教学者島田裕巳氏との対談をまとめた一冊。題名の通り、「天…

お勉強の一科目にしてしまうのはもったいないほど歴史って面白い 『戦国武将の選択』読後感

戦国武将の選択 (産経セレクト) 作者:本郷和人 産経新聞出版 Amazon 各種のメディアに登場することも多い、著名な歴史学者本郷和人氏が、自身の研究のど真ん中である中世を取り上げた一冊。 学校でのお勉強の中の一科目として、知識の暗記ばかりを求められが…

女の一人もたらしこめねーやつが万人に支持されるわけゃねーだろ 『イタリア「色悪党」列伝 カエサルからムッソリーニまで』読後感

イタリア「色悪党」列伝 カエサルからムッソリーニまで (文春新書) 作者:ファブリツィオ・グラッセッリ 文藝春秋 Amazon 女性に対しては口説くのが「礼儀」とされている国、イタリア。この国の歴史を形作ってきた錚々たる面々の「業績」を集めたのが標題の一…

あれから早二十年以上も経っちゃったんだ… 『千年世紀末の大予言』読後感

千年世紀末の大予言 (角川ホラー文庫) 作者:桐生 操 KADOKAWA Amazon 欧州の歴史を描くことをメインテーマにしている桐生操氏が、ノストラダムスをはじめとする、予言者たちの言動を集めた一冊。桐生氏の著作は、いわゆる「下ネタ」エピソードを集めたものが…

日本のキンは一体どこに行った? 『黄金の日本史』読後感

黄金の日本史(新潮新書) 作者:加藤廣 新潮社 Amazon 今を去ること約40年前、井上ひさし氏の超大作『吉里吉里人』が上梓され大ベストセラーになった。東北の一寒村が日本からの独立を宣言したことによって巻き起こる騒動を描いたもので、出版年の日本SF大賞…