脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

観る側の準備は着々と進んでますよ 『ラグビー知的観戦のすすめ』読後感

 

2015年のワールドカップメンバーで最後の最後にキャプテンを外れたものの、最後までジャパンを引っ張り続けた廣瀬俊朗氏による、初心者よりちょっと上のラグビー観戦者向けのラグビー蘊蓄本。2019年の日本開催のラグビーワールドカップを前に上梓された一冊だが、4年も積ん読したままだった。

 

時期的なこともあって、各チームの大まかな戦力分析と、各プールの予想にかなりの紙幅を割いている。ジャパンを予選プール二位通過と予想していて、準々決勝でオールブラックスと当たった場合にどうなるか、というところまで書いてあったが、結果的にジャパンは予選を4戦無敗のトップで通過し、準々決勝で南アフリカに2015年のリベンジを果たされた。まあ、当時の戦前予想ではアイルランドに勝つことは難しいと考えられていた(私もそう思っていたので、アイルランド戦の勝利にはビックリしたのだが)ので、順当な予想だろう。私にとっては何度目かの「本は買ったらすぐ読むべき。情報は日々風化していく」という感想ももたらされた。

 

その他の内容には親切に、素朴な疑問に答えてくれている、という印象を持った。

 

中でも、ラグビーの起源から、どのようにサッカーと枝分かれしたか、ワールドカップの開催がサッカーよりも大幅に遅れた理由、ラグビーの「国代表」にさまざまな国出身の選手たちが存在する理由などの解説は非常にわかりやすかった。この辺、私は薄ぼんやりとした知識は持っていたものの、どういう歴史的背景で、今のラグビー界の姿になったかということについて確たる知識を持ち合わせていなかったので、大いに役に立った。

 

その他、ラグビーではとりわけ重視される「キャプテンシー」、すなわちチームの中でキャプテンがどのような役割を果たすのかについての記述が興味深かった。このキャプテンシーという言葉も内容は曖昧模糊としている。チームの状態やメンバーの特性により、キャプテンがなすべき言動・行動は変わってくるので、「これぞキャプテンシー」というのはなかなか定義するのが難しい(というより不可能)のだが、廣瀬氏はこのキャプテンシーの「見える化」に取り組んでいくという。この試みがどのように進んでいくのかには大いに興味があるので、何かのイベントがあれば是非参加したいし、書籍が出れば買って読みたいと思う。もしかするともう出ているのかもしれないが。廣瀬氏の著作は積ん読リストにいくつかあるので探してみよう。

 

いずれにせよ、W杯を観戦する前には読んでおいて損はない一冊だと思う。2023年版のガイド本も出版されてるので、こちらも近日中に紹介したいと思う。