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サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

怪我人続出・問題噴出の巨人は今年も優勝できるのか?そしてやられっぱなしのソフトバンクにリベンジはできるのか?『巨人軍解体新書』読後感

 

巨人軍解体新書 (光文社新書)

巨人軍解体新書 (光文社新書)

 

 

web上で巨人軍に関する様々な投稿をしているうちに、その文章が編集者の目にとまり、一冊の本にまとまって出版されたという、今の私にとって最も羨ましい形で世に出たゴジキ氏による、文字通りの巨人軍解体新書。主に1990年代以降の巨人軍について様々な角度からの分析を試みている。

 

5/19の巨人は、今年の問題点が全て噴出した形で、広島相手に2-10と惨敗した。せっかく主砲岡本の技ありの一発で先制したのに、5連勝中の先発高橋優貴がすぐに追いつかれる。その後逆転されたところで、火消しに出てきた田中豊樹が急なアクシデントで降板すると、続いて出てきたFA井納が満塁本塁打を浴びるなど大炎上して1イニングに一挙9点を奪われるという失態。

 

先発投手が頑張っていた開幕当初はなかなか打線が繋がらず、打線の調子が上向いてきた現在は、中継ぎ以降のリリーフ陣が踏ん張りきれない。特に、ローテーションの一角を担うことを期待されていた井納は出てくればボコボコに打たれるの繰り返しで、今やどこにも投げる場面がないという状態で早くも二度目の二軍落ち。大黒柱の坂本を怪我で欠いているという大きなマイナス要素はあるものの、ここをチャンスと躍進する新戦力も出現していない。つまり坂本の後継者が育っていないことが露呈してしまったわけだ。

 

田中、井納は即座に二軍落ち。代わりの昇格は、野球以外の要因で離脱していた抑えのデラロサはいいとして、もう一人が井納ほどではないにせよ、出てくりゃ打たれる印象のある桜井…。何度かいろんな場で投稿してきたが、人材がいそうでいないのが現在の巨人投手陣だ。

 

二軍に目を転じれば、いや今の状態なら正確には三軍だが、コロナ感染で欠場者が大量に出た際に声すらかからなかった高額取りの不良債権陽岱鋼って存在もいる。カネにものを言わせて、他球団からそれなりの実績のある選手を引っ張ってくるのは良いのだが、ここ数年の「当たり」は丸くらい。その丸にしても今年は絶不調で、つい先日はチャンスに代打を送られる体たらく…。

 

他球団の主力級選手を引っ張ってくることで2〜3年の間の戦力維持はできるものの、出番を奪われた若手が伸びない。仕方がないのでまた他球団の有力選手を引っ張る…。FA制度が導入されて以降、ずっと継続している巨人の悪しき伝統だ。最近の原監督は、あぶれた戦力は積極的にトレードして活躍の場を他球団で与える方向にシフトしているが、それまでは飼い殺しだった。先に述べたような陽岱鋼のような期待はずれも少なからず。これまた先述の井納などは早くもその気配濃厚だ。

 

ドラフト、外国人などの「正当」な補強も失敗続き。ドラフトではその年の「目玉」に果敢にチャレンジするのはいいのだが、高校生野手のビッグネームはことごとく外して、その場で大学生投手に方針転換って年が3年続いた。で入団したメンツは桜井が伸び悩み、鍬原は大怪我。ようやく高橋優貴が今年花を咲かせようとしている状態。外国人も、自前の獲得網ではハズレばかり。一番活躍しているのは楽天から緊急トレードで獲得したウィーラーだというのが皮肉な現状の全てを物語っている。救いは、今年獲得したスモークが今の所それなりに働いているということ。同時に獲得したテームズに至っては、最初の試合でいきなりアキレス腱を切って今年は絶望。昨年鳴り物入りで入団してきたサンチェスも今ひとつ安定感に欠ける。

 

散々悪口を書いたが、私はこれでも生まれてこの方、他の球団に浮気したことのない筋金入りの巨人ファンである。一時期近鉄バファローズという「側室」はいたし、今でもその後継球団でもあり、所縁のある仙台を本拠地にしている楽天イーグルスには淡い恋心を抱いてはいるが、本気でファンなのは巨人だけだ。札束で頬を引っ叩くような強化方針には辟易としながらも、父親から刷り込まれ、その後の大量のメディアへの露出状況により繰り返し強化された「忠誠心」は今更覆すことができないほどに強力なものだ。まあ、色々突っ込むのに事欠かない球団であることもその一因だが(苦笑)。

 

さて、シーズン制覇はもちろんのことだが、ここ2年それこそ手も足も出ない状況で8連敗しているソフトバンクに勝つにはどうしたら良いのか?についてもゴジキ氏は文中で述べてくれている。具合的な内容は本文に譲るが、守備の方で言えば、まず先制点を与えないことと、昨年の栗原選手のようなシリーズ男を出現させないこと、攻撃面ではパワーピッチャーに力負けしないような対策を講じることというのが主な主張だ。私も概ねこの主張には賛同する。ただし、今のセリーグの投手に、ソフトバンクに匹敵するようなパワーピッチャーはあまりいないように思う。強いてあげれば、各球団のセットアッパー、抑え投手はそのイメージに近いが、どうしても対戦機会が限られてくるため、特に主力の打者が試合の中で修練を積むことはなかなかに難しい。でも、今のままではそれこそ3年連続の4連敗という事態が出来しかねないのも事実。できうる限りのデータを収集して、そこから考えられる対策を、それこそ今から地道にやっておくしかないのだろう。ソフトバンク専属の先乗りスコアラーを貼り付けてもいいくらいだ。実際にもうやっていることかもしれないが。

 

阪神タイガースは関西人のおもちゃだが、巨人はアンチも含めて、日本人全体のおもちゃだと言って良い。私は今後も愛憎半ばするファンであり続けると思うので、いろんな刺激を貰い続けられるおもちゃであり続けて欲しいものだ。