私はKindleの書籍検索欄にその時々で気になったワードをぶちこんで、そのワードに関係する書籍を渉猟するのを日課としている。中でも「ラグビー」と「新書」は毎日必ず検索をかけている。標題の書はその日課の際に引っ掛かってきたもの。中島みゆきの『地上の星』と、田口トモロヲのナレーションでお馴染みのドキュメンタリー番組、『プロジェクトX』の内容をそのまま文字化したシリーズ中の一冊だ。
ラグビー、と名はついているものの、当然のことながら車いすラグビーとラグビーとは全くの別物だ。断片的に見た映像からの知識によれば、ボールは完全な円形だし、前に投げても良い。両者の最大の共通点は、ぶつかり合いが合法であるということだ。車いすそのものがぶつかり合いを前提とした頑丈かつ機能的な作りになっており、そのぶつかり合いがこの競技の一番の魅力となっている。その激しさから「マーダーボール」の異名があり、海外では一定の人気があるスポーツだ。
ストーリーは、不慮の事故で全身に麻痺が残ってしまった島川慎一という青年が、車いすラグビーに出会うところから始まる。体が「健常」である際はひっこみ思案で何事にも積極的になれなかった島川は、それまで大事に使うものだと思い込んでいた車いすをぶつけ合うという意外なスポーツに目を奪われ、競技を開始。そして、最初に出場した大会で惨敗したことで、自分の中に眠っていた負けん気に気がつき、頂点を目指すことを決意する。
そして、島川は自らプレーヤーとしてプレーする傍ら、後進の指導から競技の周知に至るまで、それこそ大車輪の活躍を見せることになる。その甲斐あって、日本代表チームは徐々に強くなり、そして競技も少しづつ大衆に認知され、支持されていくことになる。
努力したのは競技者だけではない。車いすを作ったり修理したりするメカニックもまた、様々な試行錯誤を重ね、個々のプレーヤーの能力が最大限に発揮できるように車いすをカスタマイズして行った。
こうした努力が全て結実した結果、パリ五輪で見事に日本代表は金メダルを獲得する。それぞれに障害の程度が異なるメンバーたちが、チームの勝利という一つの目標に向け、チームのためにそれぞれの役割を果たし切った先に訪れた勝利。文字だけでも十分に感動は伝わってきたが、やっぱりここは田口トモロヲの語りを聞くべきだったかなぁ(笑)。
個々人の努力により能力が向上していき、そしてそれが最終的に一つとなって勝利を掴む…。これがフィクションなら、出来過ぎだのご都合主義だのとツッコミを入れたくなるところなのだが、これは紛れもない事実で、ここまでやり遂げた「チーム」の姿には素直に感動し、賞賛するしかない。
ストーリーとは別に、ライターとしてぜひ追いかけてみたいスポーツだとも思わされた。となると、これから勉強しなきゃいかんことが山盛りだなぁ、と少々深いため息が出たのだが、ハンデがありながら頑張っている人たちがいる、という事実はここでも重い強い事実として私に迫ってくる。しかし、自分のできる範囲で努力を続けていこう、と思い直した。
