USB-HDD録り溜め腐りかけ作品鑑賞シリーズその4。あまりに古いうえに、需要もないようで、アマゾンの商品検索には引っかからなかった。まだ髪の毛がふさふさしているユル・ブリンナーの主演作品。メキシコ革命時に、革命軍の急先鋒として大暴れし、革命軍に勝利をもたらした人物。元々の出自が盗賊ゆえ、題名にもした通り毀誉褒貶の激しい人物ではあるのだが、まあ、メキシコの英雄の一人とは言ってもよさそうな人物ではある。
何しろ、アメリカが建国して以来、本土に唯一侵攻を許したのが、このパンチョ・ビラ氏率いるメキシコ革命軍一派なのだ。まあ、この時は革命軍の指導者の一人で、守旧派との大幅に妥協したベヌスティアーノ・カランサの後ろ盾になったアメリカに対し、抗議の意を表すためのデモンストレーションとでもいうべき攻撃だったようで、長くその地を支配したわけではなく、十数人の兵士と同じく十数人の市民を殺害し、馬やロバなどの家畜を盗んですぐさま撤退したそうだ。
物語の進行役はアメリカの武器商人リー(ロバート・ミッチェム)。彼は守旧勢力のラミレス将軍率いる部隊に機関銃を売り渡すためにメキシコのド田舎へ、自分で飛行機を操縦して飛んで行く。で、首尾よく取引は成立したが、車軸の故障のため、近くの村の鍛冶屋の手を借りることとなる。で、その鍛冶屋の娘とデキちゃって、ずるずる村に居続けた結果、攻め込んできたパンチョ・ビラ(ユル・ブリンナー)の軍に守旧勢力の皆様ともども拘束されてしまう。
また、このパンチョ・ビラ軍が残虐に描かれている。パンチョの右腕フィエロ(チャールズ・ブロンソン)は、守旧派勢力の兵士を数人ずつ牢から引っ張り出しては、射撃練習でもするかのごとき、無表情さと無慈悲さで、ことごとく射殺する。1人殺せば犯罪者、10人殺せば殺人鬼、…100万人殺せば偉人などという言葉遊びがあるが、このシーンだけでパンチョ・ビラ軍はすくなくとも「英雄」の名には値するというくらいの殺戮をみせる。
そこで、牢から引っ張り出されたのが件のリー。彼は必死の延命策として、自らの飛行機操縦術と飛行機をパンチョ・ビラ軍に提供することを申し出た。その申し出は受け入れられ、リーは飛行機とその操縦技術でパンチョ・ビラ軍に貢献し続ける。一度は、パンチョ・ビラ軍の絶体絶命の窮地を救う活躍をみせる。そしてリーとパンチョ・ビラの間には奇妙な「友情」が芽生えていく。
粗々のストーリー紹介としては以上の通りとなる。パンチョ・ビラの粗暴ながらも人間的な魅力にあふれているという不思議さは伝わってきたし、それゆえ、本来は敵国人であるはずのリーが、最後には損得抜きでパンチョ・ビラとともに戦う決意を固めるというストーリーはなかなかの説得力だった。
現実のパンチョ・ビラは、革命にまつわる闘争から身を引き、のんびり余生を楽しんでいる状況の中、暗殺されてしまうが、この作品ではそこまでの話には触れられていない。あくまでも戦いの渦中にある時代を描いている。一言で言うと、非常に男臭い作品。まあ、ちょっと舞台設定を変えた西部劇ってところかな。