脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

支離鬱々日記Vol.168(休職日記5)

私の母は先月末から介護施設に入居した。軽度ではあるが認知症の症状が出ていること、昨今の連続強盗事件などを鑑みて、老人の一人暮らしは危険だという判断を下したためだ。実際に特殊詐欺に引っかかってしまったということもある。

 

そんなわけで、当面必要なモノだけを持って施設に入居したものだから、母が30年近く住んで、その間にいろんなものがぎっしりと溜め込まれた実家の整理は全くなされていない状態だ。

 

のんびり片付けよう、と考えていたのだが、母の従姉の孫が新婚生活を始めるにあたって、是非とも貸して欲しいと申し出てきたため、急遽、整理を4月までには終えなければならなくなった。

 

この孫君はすでに一度実家を「内見」しており、家具、家電類などはそのまま使わせて欲しいという意向を示していたので、大物を捨てる必要はないのだが、問題はタンスや押し入れに眠っている数々の品々だ。母は特別買い物が好きというわけではなかったが、住んでいた期間が長かったため、とにかくモノが大量にある。しかもそれぞれのモノにはそれなりに思い入れや思い出がまとわりついているので、本人は捨てる決心がつかないのだ。

 

昨日も、介護施設から母を実家に連れ出して、一緒にモノを整理したのだが、まあ、一つ一つのモノを眺めている時間の長いこと。下手に「使わないんだったら捨てれば」などと声をかけようものなら「これ高かったんだよ」とか「これはお父さんに買ってもらったものだ」とかそのモノにまつわる「物語」を語りだすので、とにかく片付けが進まないのだ。

 

ここで強力な援軍となってくれたのが、先述の母の従姉。母と同じ年で、幼少期から仲良くしてきたこの従姉は、片付けに付き合ってくれた上に、「どうせ使わないんだからとにかく捨てればいいんだよ」と母を叱りつけてもくれるし、どうしても抵抗するものに関しては「じゃ、あたしの家で預かっておく」と答え、後で私に小声で「こう言っといて後でこっそり捨てちゃうからいいよ」とも言ってくれる。

 

この従姉がいてくれたおかげで、私は辛うじて流血騒ぎを起こすようなことなく、母を介護施設に送り届けた。とはいえ、実家のモノがなくなるまでこの苦闘は続く。介護施設に入ってからの母は「あたしはあと10年は生きたくない」などということをしきりに言うようになったが「余分なモノを全て片付けるまでは死にたくたって死なせないよ」と答えることにしている。