脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

2022〜23年シーズンラグビー観戦記1(帝京大学vs早稲田大学 菅平夏合宿での練習試合 TV観戦)

まったく、いつの間にスカパーは大学の夏合宿の練習試合まで中継するようになったんだろう?

シックスネーションズも、スーパーラグビーも、ザ・ラグビーチャンピオンシップも外国勢同士のテストマッチ中継も全てWOWOWに持っていかれちゃった今となっては、高校、大学、リーグワン、それにジャパンのテストマッチくらいしかコンテンツがないのはわかるが、にしてもいくら強豪校同士とはいえ、練習試合の中継って、どうなんだろう?まあ、私は普段観られない試合が観られるのは歓迎なんだが、スカパーさんの商売考えると、いろいろ考えてしまう。ラグビー中継が全くなくなる、なんて日が来ないことを祈るしかない。

 

というわけで、関東大学ラグビー対抗戦の覇権争いを繰り広げるであろう両雄の対決である。このチームは春にも練習試合を行っており、その際は52-26のダブルスコアで帝京が勝利したとのことだった。岩出監督という一時代を築いた監督が退任したものの、強化方針は見事に受け継がれており、相変わらず強いらしい。強化に必要な栄養分の摂取を基本とし、科学的な根拠に基づいたトレーニングで鍛えられたフィジカルは、近代ラグビーのキモである、ブレイクダウンの攻防において無類の強さを発揮する。

 

このフィジカルを凌駕するとすれば、早稲田は持ち前のスピード勝負に持ち込むしかない。接点での攻防をなるべく短くし、ボールのリサイクルを繰り返し続けることで、スタミナを奪うフィットネス勝負を仕掛けるというのが根本的な戦略になる。

 

こう考えると、力の明治に技の早稲田という図式が見事に当てはまった、大学ラグビー華やかなりし頃の早明戦をイメージしてしまうのだが、帝京は明治ほどミスをしない可愛げのないチームだし、早稲田も走力「だけ」ではなくフィジカルバトルにも長けた選手を揃えるという方針にチームの舵を切っている。

 

大学レベルでは最高峰の一戦と言って良いこの戦い、いきなり早稲田の三連続トライで始まった。早稲田は意図した通りのスピードラグビーで、浅いフェイズの密集戦はなるべく素早くボールを出すことに特化し、外側での勝負に持ち込んで走り勝つことに成功していた。

 

前半20分までの勢いなら、早稲田の圧勝に終わってもおかしくない試合だったが、どっこい帝京もただでは終わらない。練習試合でもあり、本当にギリギリに追い詰められた状況ではないという一種の気楽さもあってか、自分達の強みであるフィジカルバトルをしっかりとやり続けた。焦ることはない、自分達のやるべきことをやってさえおけば、チャンスは必ず巡ってくる、という信念は「岩出イズム」の遺産だろう。前半の後半は逆に帝京が三連続トライを奪い返し21-21のタイスコアで後半へ突入。

 

まだ発展途上のチーム同士ゆえ、細かいミスが目立った。早稲田は伝統的にミスの少ないチームなので、さほど目立たなかったし致命的なものはなかったが、帝京は、ノックオンや、味方キック後のオフサイドなど、初歩的なミスが結構目立った。秋の「本番」ではこうしたミスは命取りになりかねないので、意識して修正すべき点だろう。

 

後半は、前半最後の悪い流れを断ち切るかのようの早稲田がテンポ良く攻め立てたが、そこはフィジカルバトルには絶対の自信をもつ帝京。なかなかディフェンスラインを突破させない。外側への展開にもよくついて行っていた。帝京もフィジカルの強さ「だけ」ではない選手が揃っている。球際の巧みさで何度かジャッカルにも成功していたし、ミスで焦ることもなかった。色々やられても最後にはスコアで上回っているのは俺たちだよ、という太々しさまで感じられた。

 

試合は後半最初のトライこそ早稲田が奪ったものの、そこから帝京が二本のトライを取り返して見事な逆転勝ち。さて、ここから早稲田がどう巻き返すのか?フィジカルバトルを真正面から挑んでくるであろう、明治はどうなんだろうか?リーグ戦の雄東海大は?天理や京産大といった関西勢は?ということで興味は尽きない。ま、ラグビー好きの皆様にとっては、練習試合まで放映してくれるとは、いい時代になったということなのかもしれない。