脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

知ってそうで知らなかった話が満載 『ロック ベストアルバムセレクション』読後感

 

 

最近になって、大瀧詠一師匠の楽曲の「元ネタ」を集めたアルバムやら書籍やらが続々と発売されて、私の中で海外の古いポピュラーミュージックへの関心が高まっていた。そんな中で積ん読棚の中で発見したのが標題の書。奥付を見てみると買い求めた第14刷は平成16年(2004年)、初版に至っては昭和63年(1988年)という、もはや「古典」と言って良いほどの一冊だった。

 

さて、そんなバイヤーズガイドの「古典」に聴くべきアルバムとして列挙されているのは435枚。そのものズバリの解説が見開き2ページで、左側のページのはじに、紹介された一枚から「派生」したアルバムが二枚づつ紹介されている。

 

毎度のことながら浅学を恥じつつ、告白してしまうと、ビートルズなどの超メジャーバンドの作品を除けば知らない作品ばかり。ただし、「名前と顔が一致しない」ままに聴いている曲は多々あるのだと思う。この本を読んで早速買い求めたThree Dog Night(本書で紹介されているのはバンドの名をそのままタイトルにした『Three Dog Night』)のベスト盤の1曲目『Joy to the World』を聴いた瞬間、「あ、この曲だったのか」という気づきがあった。

 

 

発表時から二回りも三回りもして、CMやらドラマやら映画やらのBGMやテーマソングとして使われていたり、ラジオ番組で流されていたりする曲が、おそらくは満載なのだろう。先に述べた『Three Dog Night』の他に二枚買い、レンタルショップから」八枚ほど借りてきてちょこちょこ聴いていると、「あ、この曲このグループのこういう名前の曲だったんだ」という発見が少なくない。同時に「あ、この曲は(日本の)誰それの××って曲によく似てる」って感覚に見舞われることも多々ある。「ナイアガラ源流探しの旅」ではないが、日本のポピュラーミュージックの源流というか、源泉というか、私が知らないだけのそういった曲たちがアルバム435枚分紹介されているのだろう。

 

音楽的素養がない(楽譜すら読めない)私には、楽曲の解説ははっきり言ってチンプンカンプン。百読は一聞にしかずとでもいうか、とにかく聴いてみりゃいいんだが、限られた生涯の期間内で、同じ聴くのであれば、世の識者たちにそれなりに認められた作品群から聴くのが正しいのだろう。権威主義的な見方ではあるが、「古典」を「古典」たらしめているものは、長年の風雪に耐えて、人々の心に残り続け、変わらぬ感動を生むからであり、例えば1960年代に発表されて、今の世でも名作の誉の高い作品などは、少なくとも私の世代にとっては「古典」と考えて良いのではないだろうか。

 

いわゆるクラシック音楽だって、発表された当時はポピュラーミュージックだったのであり、ビートルズが音楽の教科書に載るようなご時世であれば、ロックが「古典」になったっておかしくはない。ただし、著者渋谷氏があとがきの中で語っている通り「ロックは時代との緊張感の中にあり、その時点その時点でレコードの価値や意味合いが変わってくる音楽」である。後の世を生きる人々の間に「残る」作品であるか否かはもう少し時のゆりかごの中に寝かしておいて見極める必要があるだろう。

 

コンテキスト読みの私としては、簡易版ライナーノーツを集積したようなこの一冊はなかなか興味深かったし、名前と顔が一致した作品も多数出てきた。今後、私としては、この書の中で見かけて興味を惹かれた作品があれば手当たり次第に借りてきて聴きまくるという行動をとるのみだ。山下達郎氏が「サンデーソングブック」の中で紹介しているアーティストやアルバムを参考にするのと併用して行こうと思う。この書に取り上げられているのはド・メジャーな作品なのでレンタルショップに行けば大概あるが、山下氏のピックアップするアーティストは時にマニアックすぎて、ネットを探しても手に入らないか、バカ高い値段で売られているかどちらかだったりする。メジャーなモノばっかり追いかけるのは能がないが、マニアックなモノを追いかける続けるほどのカネもない。まあ、この本にある作品を全部聴こうとするだけでも数年はかかるのだが(苦笑)。