脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

自分の常識は他人の非常識 『HSPサラリーマン 人に疲れやすい僕が、楽しく働けるようになったワケ』読後感

 

 

標題の書の中の「HSP」とはHighly Sensitive Personの略。詳しくは↓のサイトを参照いただきたいが

kenko.sawai.co.jp

 

要するに過度に繊細で「普通の人」よりは様々な物事に傷つきやすい人間のことだ。

 

まあ、こうした資質は誰にでも大なり小なり備わっている。例えば、私は会社の業務が嫌いで仕方がないゆえに、なるべくそこで攻められないようミスしないようミスしないよう気をつけているつもりだが、実に初歩的な、みっともないミスをしてしまうことが少なからずある。そうなると、そのミスを散々引きずり、ついでに今までのミスまで引っ張り出してきて、自分の才能のなさを呪い、最後には自死まで考えてしまう。考えてしまうことは多々あっても一度も実行に移したことはないが(笑)。一度だけビルの八階の片隅で、「ここから飛び降りたら全てが終わるのかな」と考えてしばし立ち止まったことはある。その時は近くのドアから人が出てきたので、慌てて階段を駆け下りたが。

 

先週もチラッと書いたが、週末に告げられた勤務評定が最低だったことで、かなり落ち込んだ。いろんな要因が重なったとはいえ、私の一番重要な仕事ではちゃんとここ数年では一番の成果があがったのだ。しかし上司の言い分は「リーダーとしての仕事をしていないから」というものだった。「他のみんなはほぼ毎日出社していろんなことに対応している」とも「皆からは十分なフォローを受けている」と畳み掛けてきた。ちゃんと成果があがっていたのに俺の仕事は全く意味がないのか?腐り脳筋弱り毛根バカを突き放してずっと無視していることが悪かったのか?50過ぎたらみんな管理職然としてリーダーやんなきゃいかんのか…。いろんな想いが渦巻いて、鬱々として楽しめない週末を過ごさせられた。唯一の救いは姪っ子ちゃんと半日遊んだことだけ。

 

思いあまって、今週の出社日にちょうど空き時間を見つけた、直属の上の上司に思いの丈をぶつけてみた。そしたらなんのことはない、「実績」についてはちゃんと評価されていた。私の奉職する会社の評価は、いわゆる出世につながる「昇格」と給料の多寡につながる「昇給」の二本立てで評価することになっているのだが、管理職に昇格して初めての評価だった直属の上司は、どうやらそれをゴッチャにしてしまったようだったのだ。しかもこっちが、評価に納得できないと語気を強めたことで、余計に喧嘩腰になってしまい、私の至らないところばかりをあげつらうような評価になってしまったらしい。昇格なんぞもとより眼中にはないが、昇給の方まで最低という評価に納得がいかなかった私はすんなり鉾を納めた。単なる方便だったかもしれないが、会社に出てきている方が偉いという考え方もちょっと偏り過ぎている、という見方まで示してくれたので、ようやく悶々としていた気持ちが消えた。

 

まだ私なんかは、受けた傷を怒りに変えることができるのだから完全なHSPではないのだが、この本の著者春明氏は休職や退職にまでは至らなかったものの、病気としてのHSPの手前にまでは行ってしまったことが文中で語られている。WEBデザインの会社の営業マンを務めている春明氏は、40人いる営業マンの中で常に35位以下。柔道部出身で体育会系バリバリの部長に3ヶ月ごとの成績発表の際に散々どやしつけられるのが常。テレアポも取れなきゃ飛び込み営業でも相手にされない。何をやっても全くうまくいかない。

 

私なら、さっさと休職して、休職期間が終わったらさっさと退職するけどなぁ。その前に、毎日自分のプライドをズタズタにされるような飛び込み営業やらテレアポなんて仕事はそもそも選ばない。

 

しかしこの方は諦めない。常に営業成績が一位である先輩について回って、そのノウハウを逐一身につけようと努力するのだ。しかし、ただこの先輩のやり方だけを真似ても成績はついてこない。ついには最下位まで落ち込んでしまった。

 

では一体彼はどのようにして自らの閉塞状況を打開していったのか?細かいノウハウは是非とも本文にあたっていただきたい。要所要所に紹介される教訓じみた言葉も、メモっておいて繰り返し読むことで成果につながる可能性は大いにあると思う。

 

例によって自分なりにごくごく荒っぽく要約してしまえば、自分と他人は違うから、自分の思い込み通りに他人が動くことはまずない。目の前の人が何を望み、どんなことを自分にリクエストしたいかをじっくりと探ることこそが成功への道だということだ。

 

特に現在のようなSNS全盛時代であれば、30分もあれば、会って話すよりもよほど役に立つ情報を手に入れることが可能だ。そうやってリサーチを続ける一方で自分自身のSNSでの発信も工夫する。「どこかいって何か食ったら美味かった」だけではなく、もっとキャッチーで人を楽しませることのできる内容を発信していけば自然にファンが増えていくのだ。事実春明氏に最初に仕事を依頼してきたクライアントは「あなたのSNSのファンだから」というのが理由だった。

 

がーん。

 

私も、読んでくれる人が笑顔になったり、なるほどと頷いてくれるような文章を書きたいと思い努力をしてきたつもりだったが、じゃ、金を払ってまでも私の文章を読みたいというファンまで作れていたか?「いいね」をくれたり、コメントをくれるかたもいるにはいるが、とてもじゃないけど「採算ベース」にまではのっからない数だ。

そうだ、私が今やるべきは、もっともっと数多くの人が読みたいと思ってもらえるような文章を書くことなのだ。

 

仕事上の低評価の腹いせに読んだ一冊だったが、思わぬ気づきをいただいた。というわけで早速文章修行の一環としてとあるサイトに応募し、首尾よく採用されることとなった。なるべく早く文筆業で身を立てて、会社に辞表を叩きつけたい私としてはその日が来るまで精進あるのみである。