テレワークでの勤務も二回り目に入った。いよいよ会社の仕事も、会社に行って行うのではなく、家または一人になれるワーキングスペースで行うものというのが常識化してきた。
私自身も、仕事するのにわざわざ会社に行く方が「非日常」という日々が今後も続くであろうことを見込んで、田舎に引っ込むことにしたし、昨年からちょいちょい現住宅での仕事環境の快適化にも取り組んできた。
取り組みったって、結局机周りを整頓して、今まで私物だけだった空間に会社のPCを置くスペースを作ったり、資料や筆記具などを置く場を作っただけだが。何しろ、自分の好きなことをするために好きなように使っていた極プライベートな空間に、大して好きでもないが会社の仕事という「公」の事物が入り込んできたのだ。放っておくと、ついつい自分の好きなモノゴトの方に目が向いてしまう。したがって、少なくとも会社の仕事をするにあたっては、なるべく机周りのノイズを排除するようにしたのだ。
さて、そんな中で目の前にあって、ウザい上にかなりの空間も無駄遣いしていたのが、連結コードの類。キーボードなどのPC操作機器にBlu-Rayディスクリーダー、外付けHDDにプリンターにスキャナー。これらのコードが複雑にひっ絡まって、さながら甲子園球場の蔦のごとき様相を呈していた。
それに加えて、自分のPCであるminiMacと会社PCで共有化していたPC操作機器用のスイッチャーが一つ、やはり自分のPCである格安のミニWindowsPCも加えた3台で使い回していたモニターのスイッチャーが別に一つ。これじゃコードをこんがらかせるなという方が難しい。トドメは、自分のミニWindowsPCを使う際には、会社PCかmacかどちらかからPC操作機器の端子を抜いて差し直さなければならない。毎回毎回、IQテストによくあるような、こんがらがった縄を解きほぐすような作業が必要だった。
そんな問題を何とか解消しようと購入したのが↑の商品。これはインプット部分にPCをUSB端子と画像出力量のHDMI端子で接続し、別にあるUSB-HUBにキーボードやプリンターなどを接続すれば、手元のスイッチひとつで、操作機器からモニターの画面まで全てが一瞬に切り替わってしまう優れものだ。まあ、私が知らなかっただけかもしれないが、あの、昆布の森のようなコード類に悩まされ、切り替えをミスって自分自身に腹を立てていた日々から解放された。目の前も一気にひらけた。家電業界には究極のエコは古い器具を修理して使い続けることではなく、そもそもの機能に優れた新しい製品を買うことだ、などという言葉がある。斯界の勝手な言い草だと半分聞き流していたが、今までの煩わしさが一気に解消したことを考え合わせると、究極の業務合理化は先進機器(今回のモノは少なくとも私に取っては先進機器だった…)だという言葉には幾分かの真理が含まれているような気がしている。調子に乗って、最新の機器を買ったら、後になってもっと安くて機能の優れたものが出てきた、という経験も少なからずあるので、いろんなことをよく見極めていかないといけないが、手っ取り早い解決策の一つとして新製品を買うという選択肢を持つことは悪いことでは無いようだ。
先日は、新宿から練馬某所まで徒歩で帰ったのだが、昨日は山手線が一時運転を見合わせた時間帯に、新宿から高田馬場まで歩いてみた。営業職時代、この二箇所を結ぶ道は車でそれこそ何度も走ったが、歩くのは初めて。営業職時代はゴミゴミとした小汚い通りで、怪しげな外国人も少なからずいたような印象があったが、タワマンをはじめとした高層ビルはいくつも建つわ、道も整備されて歩道も広くなったりしてるわ、得体のしれない家並みだった場所は綺麗にリフォームされて小洒落た飲食店が並んでいるわで、すっかり印象が変わった。まあ、これは主要幹線の路面だけのお話かもしれないが、ちょっとしたウォーキングにはちょうどいい道に変貌していたことにとにかく驚いた。何が出てくるかわからない(出てきても大概はわるいものだったような気がするが)意外性みたいなものが排除されたことには一抹の寂しさを感じたが、街としての健全性は格段にレベルアップしたし、人が住む場所としてはこのように整備することはおそらくは正しいのだろう。
当家の都心脱出まで、残すところ約半年。昔のイメージと現在との乖離を味わってみる機会をなるべく増やしていきたいな、と思いながら夏に近いような日差しと、強力な風に吹かれながらの10000歩ほどのウォーキングを終えた。