脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

「持ち続けているモノ」がまとっているのは思い出ではなく、今までの自分の生活の反省点である 『必ずできる断捨離BASIC』読後感

 

 

必ずできる断捨離BASIC

必ずできる断捨離BASIC

  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: Kindle
 

 

Kindle Unlimitedにラインアップされていなければ読んでいなかったであろう本シリーズの8冊目は、今までに何冊も読んでいた「断捨離」に関する1冊。

 

これまた最近、何度も書いていることだが当家は10月を目処に新居に引っ越すこととなった。引っ越しとなれば当然手持ちのモノを整理する必要が生じる。潜在的に存在していた問題意識に引っかかった本がたまたま読み放題メニューの中にあったが故の衝動DLだ。本当はこういう衝動的な購買行動というのは断捨離の一番の敵なのだが(笑)。とにもかくにも、DLしたら読むしかないので読み進めていった。

 

内容的には目新しいものはなかった。断捨離というムーブメントが世に出だした頃の著作であり「BASIC」と銘打ってもあるのだから、むしろこの本はこの類の本の「基盤」となった一冊かもしれない。どういう考え方に基づけば、スムーズにモノを手放すことができるか、という心構えから、断捨離という行動を気軽に、かつ長続きさせるためのテクニックが記してある。細かい内容については、是非本文をお読みいただきたい。先達たちの実践例もあれば、イラストを交えたエッセイ風に断捨離の過程を記した部分もある。なかなかに読みやすかったというのは事実。

 

今回読後感を描くにあたっては、私なりに哲学(というほど高尚なモノではないか。ま、単なる屁理屈だと思っていただきたい)を捻り出してみた。

 

モノを捨てることができないのは何故か?

 

それは過去の自分を否定することにつながるからだ。その時その時の価値観の反映でもあるモノを捨てることは、過去の自分が間違った価値観を持っていたことの証左となってしまう。

イヤだイヤだ自分は間違ってない、正しい選択の結果としてそのモノを手に入れたのだ、だから自分の正しさを証明するために持っておくのだ。貰い物は軽い気持ちで手放してしまっては、くれた人に対して失礼だ。だから持っておくのだ。これは自分の過去を思い出すための品だ。この品があるからこそ、自分は過去を思い出すことができるのだ。だから持っておくのだ。

 

モノをとっておく理由は幾つでも挙げられるが、その根底には、モノを持っておくことが「正しい」ことだという意識がある。先日紹介した『頭のゴミを捨てれば、脳は一瞬で目覚める!』の著者苫米地英人氏の言葉を借りれば、モノを持ち続けることはその人にとってのコンフォートゾーンに属することだということになる。コンフォートゾーンとは快適な領域とおいう意味であり、まさしくモノを「持っている」ということが快適だという状態になっているのだ。この状態から脱するのは至難の技である。

 

結果的に、モノは減らず、どんどん増えていき、購入時にお金は取られるし、購入後は余分なモノを持っておくために家賃を払い、空間を無駄遣いし、心理的な疲弊まで招く。

 

こうした不具合を抜け出すためには、自分の今までの行動を冷静に見つめて、合理的な考えに基づいて、不要な品、余計な品を手元からリリースして、必要なモノだけを持つという姿勢に自分自身を作り変える必要がある。

 

例えば服。「痩せたら着られる」、「またいつか流行るかもしれない」というのは問題の先送り。「痩せたら着られる」とか言ってる人はまずその前提条件としての「痩せる」が達成できていないはずだ。「またいつか流行るかも」ってその「いつか」はいつ来るかわかったもんじゃないでしょ!!大雑把に今までの流行り廃りの個人的な経験則からいうと、2年や3年では流行は巡ってこない。よほど高い和服とか高級ブランド品でもない限り、10年も経てば布地の劣化で着られなくなることの方が多い。流行れば流行ったでその時また買えばいいじゃん!

 

例えば、思い出の品。その品物がなきゃ思いだせないような思い出なら、その思い出そのものに価値はない。本当に大切にしたい思い出なら、頭の中に強烈に、たどることのできる痕跡が残っているはずだ。本文中でも、昔の恋人からのラブレターをどうしても捨てられなかった人が、一通だけどれか捨てるとしたら?という基準で一通選んで捨てたら、全部捨てることに抵抗がなくなり、一気に全部捨てた、という体験談が紹介されていた。私自身も「新婚旅行先で買ったパーカー」を20年を経た今になってようやく捨てたが、そのパーカーを目にしなくたって、頭の中には新婚旅行の思い出はしっかり残っている、ということに気づいたからだ。この気づきを得てから、旅行にまつわる思い出の品は一気に廃棄対象となった。

 

コロナ禍の拡大で、世の中全体に否応なしにリモート勤務が浸透し、インフラも整えられたし、一般ピープルがそのインフラを活用することが求められるようにもなったが、標題の本を読んでやり始めた今回の私の断捨離はこのリモート勤務の状態によく似ている。新居に移住するという事態を前に、余分なモノを削ぎ落とす必要が、強力に生じたのだ。この断捨離を機に、無分別に買いまくることを快とする精神状態から、必要なものを必要な時に必要な分だけ

手に入れて、最後まで使い切ることを良しとする精神状態に作り替えていきたいと思う。