私が今年、会社から与えられたミッションは部署メンバーの英語力アップとExcelの習熟度のアップである。後者についての対策の一環として読んだ一冊はすでにこのブログで紹介した。
今回は前者について、大いに示唆を与えてくれた一冊を紹介したい。
私個人としては英語学習などは自分でやる気を出して取り組まないことには効果が出ないと思っている。他人から言われたり、業務命令で縛るだけでは、その時だけ多少は取り組むかもしれないが、本当に使える英語は身につかない。私も必要に迫られて身につけたクチである。海外の取引先と商談するにあたって、向こうの話していることの内容がチンプンカンプンなのでは文字通りオハナシにならない。ゆえに、最低限相手の話を聞き取って理解する力を身につけるため、英会話スクールにも通ったし、リスニングの教材も随分買い込んで学習した。現在の業務は英語にはほとんど縁がないが、その時の投資を無駄にするのが癪なので、細々と自主的に学習し、数ヶ月に一度TOEICを受験している。現時点での最高得点は800点。本当は中学以降10年以上英語に触れてきたのだから、何も準備せずに試験に臨んでもそれくらいは普通に取れなければいけないのだが…。会社に入って一番最初に受けたTOEICは確か435点だったと記憶している。
さて、標題の書は推理小説の作家として世に出た清涼院流水氏がTOEICで満点を獲得するまでの道のりを記したものである。もちろん清流院氏本人の努力が達成要因の最たるものなのだが、同じくTOEICで低得点に喘ぐ仲間たちと共に「社会人英語部」なるものを立ち上げて、切磋琢磨したことも大きな要因だ。
私が現在会社から求められているのも、まさにこの「社会人英語部」のようなものである。いかにしてメンバーたちに学習の最初の一歩を踏み出させるか?そしてそれを継続させて、お互いに競い合うような状態に持って行くか?いやはや、実に英語力アップを指令されて以降私が悩んでいた問題に合致するではないか!!
残念ながら、現在、最初の一歩すら踏み出せていないメンバーが大半なのである。年初からいろんな取り組みを始めて、4月に対策実施後初のTOEIC本番を迎えるはずだったのだが、コロナウイルス騒ぎにまつわるゴタゴタでここ1ヶ月ほど皆に余裕がない状態だったし、TOEIC試験そのものも実施されない状態が続いている。せっかく、ビギナー向けのTOEIC Bridgeって試験を「発掘」して「TOEICって難しい」と最初から捨て鉢になっている人に勧めて、実際に受験の申し込みをした人までいたのに…。まあ、その分、成果を問われる時期が後倒しになったのは良かったのだが…。
いかに学習方法を提供しようと、最初のステップを踏み出すためのきっかけを与えようと、最終的には本人にやる気がないとモノにはならない。ああ面倒臭い。思いっきり上から命令という形で押し付けたほうが楽だ。ただしそれをやってしまっては、私が今までの生涯で一番軽蔑している元上司のクソ野郎と同じ穴の貉になってしまう。で、いかに気持ちをむけるか、ということに関しては有益な知見がいくつもあった。
題名に書いた「最初の関門はまずTOEIC受験を申し込むこと」なんぞは、まさに言を左右して、申し込まないやつにぶつけてやりたい言葉だし、テクニカルな面では「発音できない音は聴き取れない」という指摘も目から鱗の思いがした。
今後の対策として、この本に書いてあることを丁寧に解説して行こうと思う。私が所属している部署のメンバーはほぼ全て大卒のはずだから、英語を最低でも10年学習した経験の持ち主ばかりだ。すなわち、ある程度の基礎的な素養は皆が持ち合わせているはずで、それを埋れさせているだけなのだ。それを発掘するための道具としてなかなか有効な一冊だったように思う。