脳内お花畑を実現するために

サラリーマン兼業ライター江良与一 プロブロガーへの道

読書

生きていれば日本を変えたかもしれない人物の評伝 『夢顔さんによろしく 最後の貴公子・近衛文隆の生涯』読後感

夢顔さんによろしく(上) 最後の貴公子・近衛文隆の生涯 (集英社文庫) 作者:西木正明 集英社 Amazon 夢顔さんによろしく(下) 最後の貴公子・近衛文隆の生涯 (集英社文庫) 作者:西木正明 集英社 Amazon だいぶ前に買って積ん読、それも上下巻別々に本棚に…

イギリス、一度行ってみたくなったなぁ 『夫婦で行く意外とおいしいイギリス』読後感

【カラー版】夫婦で行く意外とおいしいイギリス 夫婦で行く旅シリーズ (集英社文庫) 作者:清水義範 集英社 Amazon 清水義範氏が奥様と共に海外旅行に赴き、その土地土地の、主に食事を紹介する「夫婦で行く旅」シリーズの中の一冊。 今回の旅行先はイギリス…

日本人の文章の「均一性」は没個性の象徴か?それとも基礎教育力の高さか? 『嘘みたいな本当の話』読後感

嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト 作者:内田樹,高橋源一郎,ほしよりこ イースト・プレス Amazon 仏文学者にして武道家でもある内田樹氏と作家高橋源一郎氏のセレクトによる題名通りに「嘘みたいな本当の話」を集めた一冊。…

ナルな著者の意外な日常を垣間見た 『ひなびたごちそう』読後感

ひなびたごちそう (ポプラ文庫) 作者:島田雅彦 ポプラ社 Amazon 作家島田雅彦氏の職に関するエッセイ集。朝日新聞の日曜版に掲載されたものを集めた一冊。 島田氏の作品との出会いは私の高校時代。処女作でもあり、芥川賞の候補ともなった「優しいサヨクのた…

現在の音楽シーンの大元を作り上げた人物たちのエピソード集 『「ヒットソング」の作りかた 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち』読後感

「ヒットソング」の作りかた 大滝詠一と日本ポップスの開拓者たち (NHK出版新書) 作者:牧村 憲一 NHK出版 Amazon この駄ブログの読者の皆様には耳タコのお話だが、私は現在終の住処と考えている場所に住んでいる。終の住処と思い定めたことで、少々集めてみ…

超一流フレンチシェフの原点は「ど根性」 『三流シェフ』読後感

三流シェフ (幻冬舎単行本) 作者:三國清三 幻冬舎 Amazon 問題発言で、コメンテーターから現場リポーターに配置転換させられた玉川徹氏が、三國清三シェフ本人にインタビューを行い、その模様をモーニングショー内で放映していたことで、知ったのが標題の一…

町田康氏へのオマージュ 『つるつるの壺』読後感(ついでにチョイとお題にも乗っかってみる)

今週のお題「あったかくなったら」 つるつるの壺 (講談社文庫) 作者:町田康 講談社 Amazon 標題の書は町田康氏が小説家として名が売れ出した頃のエッセイ集であり、いろんな作家の文庫本の巻末に付いている「解説」もいくつか収められてもいる。 この作品集…

まだまだ活躍して欲しかった人物 改めてご冥福をお祈りいたします 『強い組織をつくる 上田昭夫のプライド』 読後感

強い組織をつくる 上田昭夫のプライド 作者:大元 よしき 株式会社ウェッジ Amazon 故上田昭夫氏の早すぎる晩年を記したルポルタージュ。 上田氏といえば、低迷していた母校慶應義塾大学を二度に渡って大学日本一(うち一回は社会人チームを破っての日本一も…

これはバックスの視点 『脱・筋トレ思考』読後感

脱・筋トレ思考 作者:平尾剛 ミシマ社 Amazon ラグビー元日本代表にして、現役引退後は合気道などを深く学び、カラダの有効な使い方を研究し続けている平尾剛氏の、トレーニングに関する「哲学」を記した一冊。 平尾氏の解くところは明快だ。筋トレをガンガ…

事前予想は見事に外れたものの…、読み応え十分な時代小説 『室町無頼』読後感

室町無頼(上下)合本版(新潮文庫) 作者:垣根涼介 新潮社 Amazon 書店の店頭で、「著者サイン本」とあったのを衝動買いした一冊。 題名からして、織田信長あたりを主人公にした小説ではないかと、勝手に想像して読み始めたらさにあらず。 主人公は才蔵とい…

イマドキはちょっとはやらないかもしれない男臭いハードボイルド 『約束』読後感

約束 (幻冬舎文庫) 作者:北方 謙三 幻冬舎 Amazon 北方謙三氏が世に知られたのは、いわゆるハードボイルド小説だ。学生運動のバリケードの中では純文学を書いていたそうだが、商業的に成功せず、酒にもタバコにも、女にも喧嘩にも強いおっさんたちを描き始め…

「うくく」なエッセイの数々 『耳そぎ饅頭』読後感

耳そぎ饅頭 (講談社文庫) 作者:町田康 講談社 Amazon ここ数週、心身ともに非常に調子が悪い。 齢55と巷ではアラカンなどと呼び慣わされる年代に達し、日々の疲労の蓄積が抜けなくなったことも原因の一つであろうが、心ときめくような出来事がないからという…

武田家滅亡までの歩みを周辺部から描いた力作 『戦国鬼譚 惨』読後感

戦国鬼譚 惨<文庫版> (コルク) 作者:伊東潤 コルク Amazon 人呼んで剛腕歴史小説家の伊東潤氏が、武田家滅亡までの日々を描いた連作小説集。 「始祖」武田信玄の死後を襲った武田家盟主の四郎勝頼は、最後は親族にまで裏切られて、取り巻き数十人という惨…

町田康版の『ロックンロール退屈男』 『パンク侍、斬られて候』読後感

今週のお題「最近おもしろかった本」 パンク侍、斬られて候 (角川文庫) 作者:町田 康 KADOKAWA Amazon なんだなんだ今週の「お題」は。米を炊くのに最良の器具を設え、かつ和食の最高の料理人の手配まで整えたような、シンプルなのに最高に贅沢なお題ではな…

人生はピークを迎えた後の方が長い 『人生はそれでも続く』読後感

人生はそれでも続く(新潮新書) 作者:読売新聞社会部「あれから」取材班 新潮社 Amazon 私は、結構「あの人は今?」的な企画は好きだ。それも、どちらかといえば、華々しいデビューを飾ったものの、その後はヒット曲に全く恵まれないいわゆる「一発屋」とか…

ラグビーを取り巻く「空気感」までが伝わってくるエッセイ集 『ラグビーって、いいもんだね。2015−2019ラグビーW杯日本大会』読後感

ラグビーって、いいもんだね。 2015-2019ラグビーW杯日本大会 (鉄筆文庫) 作者:藤島 大 鉄筆 Amazon 瀬戸内寂聴氏は、文学上の師匠である宇野浩二氏から「出来事を書くのではなく人間を描け」と指導を受けたそうだ。瀬戸内氏の場合は小説に関しての心構えだ…

来年のW杯の賜杯の行方はどこに? 『オールブラックスが強い理由 ラグビー世界最強組織の常勝スピリット』読後感

オールブラックスが強い理由 ラグビー世界最強組織の常勝スピリット 作者:大友信彦 東邦出版 Amazon この本を読んだ時点では、オールブラックスは「常勝」のチームではない。 7〜8月にかけて行われた、テストマッチや国際大会では、24年ぶりの連敗を含む5勝4…

今更言われなくてもわかってるよ!って内容の一冊 『今の会社で満足してますか?脱!会社員』読後感

今の会社で満足してますか?脱!会社員 作者:柳まりこ Amazon 話の内容からすると別口のブログ向きなのだが、見出しつけたり、段落区切ったり、番号なしのリストにするのが面倒臭いし、第一、見出しつけるほどの長さの文章でもなかったので、こっちに書くこ…

いい映画の方程式通りのコメディ 『インターンシップ』鑑賞記

インターンシップ [Blu-ray] オーウェン・ウィルソン Amazon 久々の映画鑑賞記は、録り溜めHDDで半分腐りかけていた標題のコメディ。主演を務めたのは脚本・監督も兼ねているもあるヴィンス・ヴォーンとオーウェン・ウィルソンのコンビ。実話を元にしたスト…

なんだかよくわかんない箇所もあったけど… 『憂うつデトックス-「未来の不幸な自分」が幸せになる方法-』

憂うつデトックス - 「未来の不幸な自分」が幸せになる方法 - 作者:大嶋 信頼 ワニブックス Amazon カウンセラーとして活躍し、うつに関する著作も多い大嶋信頼氏による「不幸な未来」の回避方法を述べた一冊。 自動車教習所に通った経験のある方は、座学の…

結局モノゴトはとことんまでやり続けないと成功しない 『自意識とコメディの日々』読後感

自意識とコメディの日々 作者:オークラ 太田出版 Amazon 一時は自らもお笑い芸人を目指しながら、現在ではコントの原稿やバラエティー番組の構成、果てはドラマの脚本まで書いてしまうという、お笑い界の「黒田官兵衛」のような存在のオークラ氏による、自分…

支離鬱々日記Vol.159(お題と徒然)

今週のお題「SFといえば」 おかげさまで、ここのところお金になる文章執筆が忙しくてブログにまで手が回らなかった。もっとも、会社の仕事も忙しくてストレスフルで、夕刻までにほとんどの精神的エネルギーを使い切ってしまうような状態でもあったので、余裕…

実際にその土地に行って自分の身体を使わないと感じられないことは確かにある 『戦国の古戦場を歩く』読後感

戦国の古戦場を歩く(祥伝社新書232) 祥伝社 Amazon 井沢元彦氏監修による、戦国時代の有名合戦地のガイド本。 織田信長が今川義元を討ち取ったことで一気に戦国の雄にのし上がった「桶狭間の戦い」、武田家が織田軍の最新戦法、鉄砲の三段打ちで壊滅状態に…

最初に手に取ったのが「最後」の作品とは… 『必要になったら電話をかけて』読後感

必要になったら電話をかけて (村上春樹翻訳ライブラリー) 作者:レイモンド カーヴァー 中央公論新社 Amazon 私の書斎の本棚は、いまだに乱雑なままだが、各棚に並べてある本のサイズだけは統一してある。とりあえず物理的にできる整理としては、それが一番手…

ノート・手帳の使い方を巡る試行錯誤は続く 『深く考えるための最強のノート術-年収1億稼ぐための思考法』読後感

深く考えるための 最強のノート術: ――年収1億稼ぐための思考法 (「しくみで稼ぐ」シリーズ) 作者:午堂登紀雄 パンダ・パブリッシング Amazon 何度か書いている通り、私はA5のシステム手帳を使っている。 正直にいうと、中身はほとんどない。精々1ヶ月先ま…

二転三転する事件の様相とそれを追いかける刑事たちの執念の物語 『宿命と真実の炎』読後感

宿命と真実の炎 (幻冬舎文庫) 作者:貫井徳郎 幻冬舎 Amazon 珍しく衝動DLしてしまったミステリー。作者貫井徳郎氏の評判が各種SNSで高いこともあり、一度は読んでみたいと思っていた作家の作品だ。この作品は山本周五郎賞を受賞した『後悔と真実の色』の続編…

噺の名人と小説の名手が語り合う「笑い」『対談 笑いの世界』読後感

対談 笑いの世界 (朝日選書) 作者:桂 米朝,筒井 康隆 朝日新聞社 Amazon 桂米朝師匠が文化功労者、筒井康隆氏が紫綬褒章を受章したことを受け、2003年の朝日新聞正月版の特集としてこのご両人の対談を掲載しようという企画を立てたところ、話が多岐に渡り盛…

死は誰にでも平等に訪れるとはいうものの 『事件現場清掃人』読後感

事件現場清掃人 作者:高江洲敦 飛鳥新社 Amazon Yahooには、どこかの雑誌や書籍などから、話題になりそうなネタを引っ張ってきて、抜粋版を何回かに分けて掲載する企画があるが、一時よく取り上げられていたのが、ワケアリ物件とその「ワケ」に相当する、人…

最後に一花何かやらかしてくれそうな気配を漂わせている「角川商法の始祖」 『最後の角川春樹』読後感

最後の角川春樹 作者:伊藤 彰彦 毎日新聞出版(インプレス) Amazon 角川書店との最初の出会いは北杜夫氏の『どくとるマンボウ航海記』だったと思う。小学校の最後か、中学校の初めだったか、北氏の『どくとるマンボウ途中下車』というエッセイ集にすっかり…

ドリフターズのコントは歌舞伎や落語と同じ伝統芸能になり得る可能性があった 『ドリフターズとその時代』読後感

ドリフターズとその時代 (文春新書) 作者:笹山 敬輔 文藝春秋 Amazon 小学校時代は土曜の夜が楽しみだった。翌日が休みだということもあったが、何しろ「8時だヨ!全員集合」という何を置いても最優先で観るべき面白い番組があったからだ。オープニングテー…